暁 〜小説投稿サイト〜
極短編集
短編43「時を超えて」
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「時を超えて〜♪」

 と、中学生の女の子が歌っていると、隣でボーイフレンドが……

「その歌、好きだよね!?時が過ぎても、ずっと愛せるかかあ」

 と、言った。

「出来る?」

 と、女の子は、大好きなボーイフレンドに言った。

『もちろん出来るさ!』

 と、男の子は大好きな女の子に言いたかったものの、言葉には出来なかった。その日の夕方、女の子は交通事故にあった。

◇◇◇

 20××年×月×日の土曜日。14歳の女子中学生が事故で意識を失い、患者として入院した。が、しかし奇跡的に目を覚ました。

「長い間、意識を失っていました。」

 患者の目の前には、白衣を着たお爺ちゃんの医者がいた。

「えっ?今日は何日の何曜日?」

「×月○日の日曜日です……」

 老医師から日付を聞くと患者は、今日が事故に合った日の、次の日の日付と理解した。

「そかっかあ、今日は日曜日かあ。明日には学校にいけるかな?」

 患者に言われた老医師は、困ったような難しい顔をした。

「なんと言えばよいのか……」

 医者はとにかく歯切れが悪い。

「私の身体、どこか悪いの!?」

「いえ、身体は健康そのものです」

 老医師はそう答えた。

「じゃあいったい?」

 老医師は黙っていた。ふと患者は自分の手の違和感に気付いた。自分の両手を見て、そして医師に尋ねた。

「先生、今年は何年?」

 老医師は目を伏せたまま何も言えなかった。患者は自分の顔をさわった。また違和感があった。

「先生、鏡貸して下さい」
 
 老医師は看護師に言って、鏡を用意した。患者に手渡す際……

「決して、気を落とさないで下さい」 

 と、老医師は言った。意を決した患者は、鏡をのぞき込んだ。そこにはなんと……

 老婆の顔があった。

 老医師と同じぐらいの年老いた顔。

「事故で意識不明になられてから、84年の歳月が経ちました」

 老医師がそう告げる。同じ曜日のカレンダー。

「うっ、あっ、あああああ」

 患者は、その場で泣き崩れたのだった。

◇◇◇

 それから数日がたった。

「もう一つ伝えなければならない事があります。その前にまずはこの写真を見て下さい」

 と、老医師は言って患者に何十枚に及ぶ、写真の束を見せた。その一枚目の写真には、女の子が病院のベッドに寝ており、その隣には大好きな男の子が心配そうに座っていた。写真の日付は事故の2年後だった。次はその一年後、その次はと……写真の中で歳をとっていく、二人の姿がそのにはあった。

「私、一人になっちゃった。しかも凄いお婆ちゃん。あと……どんだけ生きれるんだろ……」

「大丈
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ