暁 〜小説投稿サイト〜
極短編集
短編36「般若心経」
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 僕のお祖父ちゃんは、お寺の住職だったから、遊びに行くといつもお経を唱えていた。

「お祖父ちゃん、かんじざいぼーさつって?」

 僕はお経の意味を聞いた。

観自在菩薩(かんじざいぼさつ)とは、菩薩様が、という意味さ」

「じゃあ、そのあとは?」

行深般若波羅蜜多時(ぎょうじんはんにゃはらみたじ)は、偉大なる知恵を求めて、修行をされている時に」

「それから」

照見五蘊皆空(しょうけんごうんかいくう)、人間の心と体を作っている五つのもの、五感で感じるものは、実は本質的なものではないという事に気づき。度一切苦厄(どいっさいくやく)、すべての苦しみから、解き放たれたのである」

「お祖父ちゃん、もういいや。僕にはちょっと難しいや!」

 そう言って僕は、話を聞くのをやめた。それから家に帰って1ヶ月ぐらいが経った時に、お祖父ちゃんから僕に電話があった。

「お経の事なんだけど、中学生のお前にも、もっと分かりやすくしてみたよ!」

 と、何とも楽しそうに電話口で話していた。そして僕は、お祖父ちゃんの所に行った。

「よく来てくれたね!じゃあ聞いててね」

ポク、ポク、ポクポクポーン。ポク、ポク、ポクポクポーン……

 お祖父ちゃんはリズムよく、木魚をたたき出したかと思うと、ラップを歌いだしたのだった。

「昔、菩薩つー奴が(観自在菩薩) 
 幸せ探しをしていた時に(行深般若波羅蜜多時)
 見たり聞いたり感じる事に、いちいちいちいち、こだわんなければ(照見五蘊皆空)
 もっと気楽に生けれる事を、俺はとうとう見つけた!って(度一切苦厄)
 寝てるシャリシ、たたき起こした(舎利子)

 あるんだけれど、ないってものもある(色不異空)
 無いものだって言葉に出来る!(空不異色)
 たとえば『お化け』なんかがそうさ。分からない事そのもの自体を、言葉にして 理解したんだ!(色即是空)

 たとえば『愛』ってやつもそうさ、心の中にある形さ!(空即是色)
 喜怒哀楽の心ってやつも(受想行識)
 それと同じだって気がついた(亦復如是)
 おい!シャリーシ。寝てんなよく聞け。耳の穴ほじって、よく聞いとけよ!(舎利子)

 話し変わって、デカク行くぜ!全てのものは、感じるから有るんだ!感じ方で姿、変わってくんだ!(是諸法空想)
 元から地球にあったんだから、形をかえて現れただけで、形をかえて見えないだけさ(不生不滅)
 汚れたものも、綺麗なものもなく(不垢不浄)
 元から地球にあったんだから、増えることもなく、減ることもないぜ(不増不減)

 そんな大きな視点でみれば(是故空中無色)
 人って存在はちっぽけで(無受想行識)
 五感や心で感じたことや(無限耳鼻舌身
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ