短編31「天井の女の子」
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なっていた。
それからしばらくしての放課後の事だった。
「いつも教室に残って勉強してるよね?私にも教えてくれるかな?」
学年一の女の子が居た。僕は『これは夢だ!』と思った。
「いっ、いいけど……」
僕はチラッと天井を見た。天井は変わらず、いつもの天井だった。それから僕らは、いつも放課後になると一緒に勉強をした。
その辺りから僕の学校生活が一遍していった。自然に、僕の周りに人が増えていったのだ。
「同じ趣味だね!」
「一緒に飯、食おうぜ!」
「お前って物知りだなあ」
その時、気付いたのだった。
『そうか……避けていたのは、みんなじゃなかったんだ。避けていたのは、いや寄せ付けなかったのは……僕の方だ』
ぼっちだと思っていたのは思い込みだったのだ!そして誰も悪くはなかったのだ。ただ僕は、人のせいにしていたのだ。
「後夜祭で、一緒に過ごしてくれる?」
学年一の女の子に言われ、僕は有頂天になった!僕は誰かに話したくなった。でも……誰に?誰もいない放課後……
「ねえ!聞いてよ」
僕は天井の女の子に話したのだった。
「聞いてたわよ。ここで言われたの聞こえてた」
「あっ!」
そりゃそうだった。ここで学年一に言われたのだ。てか、一緒に勉強してたのも、もちろん分かっているのだ。僕は『失敗した〜』と思った。
「毎日、いちゃいちゃしてたわね」
天井の女の子が、僕の心を見透かし、無表情に言った。
「べっ勉強だよ!」
「どってでもいいわ。それより……」
「それより……?」
僕は唾を飲んだ。ゴクリと音がした。
「良かったわね、後夜祭」
天井の女の子は、無表情に微笑んだのだった。
いや……本当に微笑んでくれたのだ。
「私もアナタに言わなければいけない事があるの」
天井の女の子は、また無表情になった。天井の女の子は逆さのまま、天井から降りてきた。いつも不思議に思うのだが、天井の女の子の癖のない長い髪は、天井に向かっておりていた。決して逆立つ事はなかったのだ。てか……
「あれ!?降りられるの!」
逆さのまま、僕らは見つめ合った。
「ありがとう」
どこか寂しそうな、でも嬉しい表情を浮かべ、天井の女の子の顔が近づいて来た。
チュッ
「私、先生になりたかったんだ」
「えっ!?」
「そう学校の先生に」
と、天井の女の子は言うと、懐かしそうな表情になった。
「助けてって、私も言ってたの。誰か私と友達になってって……こんな事なら自分を殺さなけりゃ良かったって思ってたの。そんな時に、アナタの声が聞こえた。『助けて』って。『誰か助けて!』って。その声に呼
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