短編31「天井の女の子」
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」
と、今度は勉強とは関係のない話を女の子はしてきた。
「えっ!?」
「アナタの趣味は何?趣味は違っても趣味に対しての気持ちは、通じる事があるはずよ」
と、女の子は言った。それから、その話からすぐの休み時間の事だった。
「なあ、お前の趣味って何?」
天井の女の子が言っていた男の子から、僕は聞かれた。
「えっ!?趣味?趣味は……そっ、それよりキミの趣味は音楽だよね?音楽のどういう所が好き?」
「えっ!?お前良く見てるなあ。俺良く雑誌見てるからなあ。てかお前、人に興味ないのかと思ったよ!俺はさあ……いつか自分の音楽を作りたいんだ」
その後は、その男の子の趣味の話を延々と聞く羽目になった。さっぱり分からなかったけど……『会話っていいなあ』と、僕は思った。
「お前、面白いなあ。今日、俺んちに来いよ!」
僕はその日、男の子の家に遊びに行った。それは、友達と上手く関われた初めての瞬間だった。とにかく嬉しかった。僕はそれ以後、良くその男の子の家に遊びに行く事になった。
天井の女の子と会わなくなって少し経った日の事だ。
「あの女の子、体調悪いけど、誰も気づいてないみたい」
クラス移動の時だった。天井から急に声がして振り向くと、上半身が飛び出している天井の女の子がいた。
「あの女の子、危険だよ」
天井の女の子は無表情のまま、クラスから出ていく、その女の子を指差していた。その女の子は学年でも人気の女の子だった。でも僕は天井の女の子の緊迫感とは別に……
『髪、長いんだなあ』
と、天井の女の子を見て思っていた。
「何してるの!早く行って」
僕は天井の女の子に言われ、慌てて廊下に飛び出した。その女の子は階段を登る所だった。僕が追いついたその瞬間だった!
「あっ!」
「キャー!」
周りの女の子達が一斉に騒いだ。その女の子が急に倒れたからだ!後ろ向きに倒れる女の子。倒れた女の子は間違いなく、頭を階段に打ちつける事だろう。その時は本当にスローモーションだった。とっさに飛びつき、僕は女の子を抱えたまま、横滑りした。
間一髪、間に合った。
「だっ!大丈夫ーー!?」
悲鳴をあげて駆け寄る女の子の友達たち。僕は、その喧騒をよそに、そそくさとその場をあとにしたのだった。
次の日の事だ。
「その腕……」
登校してきた、昨日、助けた女の子が僕に言った。
「ああ、家に帰ったら痛みだして……シップ貼ってるから大丈夫だよ」
女の子はセミロングで、シャンプーのいい香りがした。
「昨日はありがとう」
そう言うと、女の子は自分の席に戻っていった。学年一の美人で可愛い女の子に言われ、僕はとてもいい気分に
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