第143話 異民族対策
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であれば孫文台の三女・孫尚香も私の手元に置いておきたいな」
正宗は淡々と言った。
「正宗様の計略は孫文台が死ぬ前提の話で話されています。孫文台が病を患っている話など聞いたことがございません。将来、孫文台が死ぬ確証がお有りなどのですか?」
渚は剣呑な表情で正宗を見ていた。正宗が孫堅を暗殺するつもりでいると考えていると思っているのかもしれない。
「孫文台を暗殺しようなどと考えていない。そんなことをすれば美羽の身が危険になる。血の気が多い孫伯符など単身で美羽を殺しに来かねないであろう。私は孫文台の戦い方では長生きはできそうにないなと思っただけだ」
正宗は嘘をついた。冥琳と朱里だけは事情を知っているのか複雑な表情をしていた。正宗の知る歴史が現実のものとなるかわからない。しかし、史実においても原作においても孫堅は死んでいた。正宗の歴史改変により影響によって、孫堅の死が回避される可能性もあるが、現在孫堅は劉表と対立しているのは事実だ。孫堅が劉表との戦いで死ぬ可能性は十分にありえる。
「確証無き話で孫仲謀を客将にするのは軽率でございます。今一度お考え直しください」
渚は正宗の根拠無き理由で孫権を客将にしようという考えに否定的なようだった。
「あながち確証無い話という訳でもない。孫文台と劉景升は対立している。劉景升は面子があり、孫文台と和解するなどありえない。孫文台も自分を蔑む劉景升に膝を折るなど挟持が許さんであろう」
正宗は一呼吸置いて少し思案した表情を浮かべた後、渚の顔を見た。
「これは私の推測だが、孫文台が順調に軍閥の拡大化を進めれば、いずれ劉景升を攻めるだけの軍事力になる。その時、劉景升は面子のために孫文台を積極的に攻めるだろう。だが、文弱の劉景升に孫文台を抑え込むのは無理だ。美羽が静観を決めれば、劉景升は間違いなく追い込まれる。追い込まれた者は何をするかわからないものであろう?」
正宗は意味深な表情で渚のことを見つめた。渚は緊張な表情に変わり唾を飲み込んだ。
「劉荊州牧が孫文台を暗殺すると?」
渚は憚りるように声を小さくしてゆっくりと言った。
「劉景升がそんなことを指示する訳があるまい。あの女は家臣から献策されようと迷うであろう」
正宗は洛陽で知り得た劉景升の情報を記憶から引き出すように虚空を見つめた。
「それでは何故に孫文台が死ぬと仰るのです?」
「劉景升の側にはいるであろう。汚れ仕事を厭わない奴がな」
正宗は渚に言った。渚は心当たりがあったのか厳しい表情に変わった。美羽を襲撃した黒幕である。
「蔡徳珪、にございますか?」
渚は迷わず答えた。正宗は頷いた。
「蔡徳珪なら間違いなくやる。蔡徳珪では孫文台の率いる兵を真正面から
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