短編26「ロボットプラス」
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「あっ、パパお帰り〜」
風呂上がりの息子が、玄関に出迎えてくれた。息子6歳、保育園の年長の時の話だ。
「今日、みんなでショッピングしてロボット作ったんだよ〜!」
と、息子。
『ショッピング?ロボット?なんだそれ〜!』
そう思っていると、妻が写メを見せてくれた。保育園の玄関ホールで、息子と巨大ロボットのツーショットが写っていた。
「名前はロボットプラスって言うんだよ〜」
「なんでまたそんな名前?」
「プラスチックで出来たロボットだからだよ!」
「どうやって動くの?」
「自分で歩くんだよ!」
『いや動力源を聞いたんだけど……うーん』
仕方がないので、適当に相づちをうつ。
「あっ、そう」
「しゃべるんだよ!」
『先生がじゃべるマネをするんだろ!?』
と、思ったが言わないでおこう。
「へえ、すごいなあ」
「プラスチックゴミから出来てるんだ!」
「ああ、だから朝、プリンカップを洗って持って行ったのかあ!」
「ロボットプラスは玄関に飾ってあるから見てよ!」
『そうかあ、みんなで工作したんだなあ』
と、僕は思った。そして数日後……
「えっ!マジかよ〜」
玄関ホールには、確かに巨大ロボットがいた。外側は、子どもたちが、プラスチックゴミを用いて装飾されていた。
「本物みたいだなあ」
『いや〜良く出来ている!』
と、僕は関心していた。
「だから本物だって!」
『確かに本物みたいだ!』
近づいてみると、ロボットと目?が合った。すると……
ウィーン
と、こちらに歩いて来た!
「マジかよ!二足歩行だ」
「だからパパ、本物のロボットって言ったでしょ?」
プラスチックゴミだらけなのだが、中身は明らかに高度なメカニズムのロボットがいた。
「オカエリナサイ」
ロボットはお迎えしてくれた。奥の事務所から、園長が出て来た。
「すごいでしょ!大学のロボット工学だかのお兄さんが来て、ワークショップをして作ってくれたのよ〜!中身の本体は来週に返却なんだけど〜」
『そういやショッピングって……
そういう意味だったのかあ!?』
それを聞いて、たまには子どもの言う事も信じようと思ったのだった。
おしまい
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