短編25「ジャンクフード」
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「先輩って、良くこんな夜勤の多い仕事出来ますね!たかだかジャンクフード屋じゃないですか?」
と、最近入った後輩が愚痴を言っていた。
「そうだね、仕事は大変だね。でも、生きてく為に仕事があるだけでも嬉しいという気持ちもあるんだよ」
僕と後輩のやり取りを、そばで同僚は聞いているのは分かっていた。同僚は、僕がここに勤めるちょっと前から仕事していた。同僚は、後輩をにらんでいる。 その後の後輩の態度いかんでは、きっと同僚は……と思ったので、僕は同僚の様子をうかがいつつ、ポツリポツリと話しを始めたのだった。
◇◇◇
真面目に仕事はしていた。なのに……
なのに、この事態に陥っている。この冬、24時間営業のジャンクフード屋が僕の根城だった。突然の解雇だった。
「えっ自主退職?解雇じゃなくて!?」
「ええ、でもここに書いてありますよ」
僕はハローワークの職員の胸ぐらをつかんだ。
「なんで!?」
職員は僕を同情の眼差しで見ている。『ヤラレタ』と思った。その日を境に、僕の生活は一変していった。
家賃が払えず、ネットカフェ生活。そして、今はジャンクフード屋で夜を過ごしていた。
それでも毎日、ハローワークに通っていた。しかし本当に仕事がなかった。手持ちの金を計算する。仕事が見つかって面接に行くための資金をのぞくと……すると食費も1日一食とれるかどうかの状態になった。
たまに、仕事は見つかるものの、すぐに仕事につける訳でなく。ただ面接だけで終ってしまうと、とにかく痛い出費になった。
『もう本当にヤバいかも』
こちらには友達はいなかった。住み慣れた街をあとに、僕は飛び出して来てしまったからだ。
ハローワークでは履歴書などは無料で貰える。ノリやボールペンもあった。 でも写真だけは、お金を払って撮らなければならなかった。もしかしてと思って、余分に撮っておいたのだが、面接の度になくなり、不採用なら返してもらえるよう頼むが、それでも、だんだん足りなくなった。
毎日毎日、ハローワークで、見ても代わり映えしない求人広告を見て、寒い夜は、いつものジャンクフード屋に行った。
椅子に座り。机に突っ伏して眠る。
『こんな寝方、学生時代以来だなあ……』
と、思いつつ。
『ああ、体を伸ばして眠りたい……』
浅い眠りについていた。
就職活動を始めて、もう2ヶ月になっっていた。ジャンクフード屋のトイレで、それもカミソリ刃だけのひげ剃りも、板について来ていた。
雨の日は憂鬱になった。食費も底をついた。お腹がすいて、考えがまとまらなかった。
机に頭をつけ。ただただ、店内の様子を見ていた。
『そういえばずっと居座っていたのに、店員は何も言ってこなかったなあ……』
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