短編24「神様のスイッチ」
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ビー!
ブザーが鳴る!僕は目の前にある、大きな赤いスイッチを押した。
僕は、新しい仕事についた。ハローワークで紹介された住所に向うと、ビルがあり、エレベーターを上がり3階の奥が僕の職場だ。僕の仕事は……
ビー!
と、ブザーが鳴ったら目の前の、机の上にある赤いスイッチを押すのだ。初めて会社に来た時は驚いた。会社からは、前もってマニュアルが郵送で渡されていた。マニュアルにそっていくと……
住所の書いてある所に行く。
会社のドアを開ける。
右手奥の3号室で業務となる。
業務内容は、机の上の赤いスイッチを、天井のブザーが鳴ったら押す。
業務時間は8時半から18時。
12時から13時まで昼休み。
午前10時、午後15時より15分の休憩。
週5日の勤務。
休みまたは遅刻、早退などの場合は、電話にてフリーダイヤルへ。音声案内にしたがって、手続きを取る事。
まあ、こんな感じで僕の仕事が始まった。初めての内は、興味本位で続いたが……
「だだ、スイッチを押すだけかよ!?」
段々と業務への熱意は消えて行った。
ビー!
ブザーが鳴り、スイッチを押す。ブザーはいつ鳴るか分らない。一日鳴らない時もあったし、ひっきりなしに鳴る時もあった。しかし……
「ただ、押すだけかよっ!?」
一か月も立つと嫌気が差して来たのだった。だから業務中……
「アハハハッ!」
漫画を持ち込んでしまった。しばらく様子を見たが、何も言われなかった。とはいえ飽きては来る。僕は昼休み、他の部屋も開けて見た。恐る恐る開けると……
誰も何もいない、真っ白な部屋だった。
部屋は、1号から6号まであった。しかし、机と椅子があり、赤いスイッチがあるのは僕のいる3号室だけだった。トイレの隣りは給湯室で、良くそこでお茶を沸かしたり、会社のレンジでお弁当を温めて食べた。
どの部屋も真っ白で、窓がなかった。空調は効いていて、いつも同じ温度と湿度のようだ。そうそう、一度、会社に残ってみた事があった。18時までが業務時間なので18時になると帰っていたが、しばらく椅子に座っていると、18時半になった所で……
パチッ!
っと、照明が消され、代りに非常灯が点灯した。シーンとする社内。30分くらいいたが、その他に変わりはなかったので、帰ることにした。ドアは僕が出たあと、勝手に鍵がかかっていた。
とにかく、変な仕事だ。しかし、給与はちゃんと銀行に振り込まれていた。半年が過ぎた辺りから、僕はこの仕事が辞めたくなった。とにかく、やり甲斐を感じないのだ!毎日、会社に来て、ブザーが鳴ったらスイッチを押す!
その事になんの意味があるのだろう?
僕は段々といい加減な気持ちで仕事を始め、
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ