短編24「神様のスイッチ」
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机の上にはテレビを置き、DVDを見たり、お菓子を食べながら、ブザーが鳴るとスイッチを押していたのだった。
そんな折、地震があった。業務中に地震は起こった。かなりデカい揺れだ。
ビー!
その最中にブザーが鳴った!
「なんだよ、こんな時に!」
と、思ったが取りあえず、机の下から手を伸ばし、スイッチを押した。
「あれっ!?」
スイッチを押すと同時に地震は止まった。ニュース番組をつけた。テレビでは、臨時ニュースをやっていた。そのまま、つけておくと、またまた臨時ニュースが入った。なんと津波が来るらしい!それもかなりの大津波だ。すると……
ビー!
と、ブザーが鳴った。僕は反射的にスイッチを押す。臨時ニュースのテロップが修正された。津波の規模が小さくなった。
それからは、僕はテレビだけでなくパソコンやラジオを持ち込んだ。
「そうか?ヤッパリ、そうなのか!?」
僕は自分の仕事を理解した。テレビで速報が出た。火山の爆発だ!
ビー!
すぐさまブザーが鳴る。スイッチを押すと……
「あっ!火山がおさまった。良かったあ〜」
大した災害にならずにすんだのだった。パソコンからは、世界のニュースがキャッチ出来た。森林火災発生!このままでは、街が炎に飲みまれてしまう。
ビー!
ブザーが鳴った!スイッチを押す。森林火災は突然の雨によって鎮火した。
「やっぱりそうだ!!」
僕はこのスイッチを『神様のスイッチ』だと思った。それからの僕は、やり甲斐をもって仕事に励んだ。机の上には機材が並び、地球規模のデータが瞬時に分かるようになった。
太陽フレアの増大!NASAより緊急発令。太陽風に乗り、今までにない電磁場が地球に襲いかかって来た!
ビー!
ブザーがなった!スイッチを押す。今回の電磁場は、大した事なく済んだのだった。
僕は変わった。心が物凄く広くなった。僕が人類を守っているのだ!こんな気分の良い話しはない。そして気付くと30年余りが過ぎた。会社から手紙が届いた。あと1年で定年であるという通知だった。
「思えば不思議な仕事についたなあ」
僕は独り言をつぶやきながら、通いなれた道を行く。いつもように椅子に座り、ブザーが鳴るのを待った。それは突然に起こった。
「うっ!!」
胸が飛び出るほど、バクバクと言い出したのだった。苦しさに僕は突っ伏した。
『心臓発作!?』
頭の中に浮かんだ言葉。ギュウッと痛みが襲う!急に目の前が暗くなり、意識が遠のいて行く。その時だった……
……ー!ビー!ビー!ビー!
ブザーの音が聞こえた。僕は机に突っ伏したまま、無意識の内にスイッチを探した。スイッチに腕が触れる。
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