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極短編集
短編22「缶コーヒー」
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 もう限界だった。俺は自殺しようと近くの高層マンションに上がった。

『さあ、ここで!』

 と、思った時に誰かがいた。見ると、初老の男だった。俺の気配に気づき男が振り向いた。俺もビックリしたが男もビックリしていた。そして……

「あなたもですか?」

 と、男は外を指差した。意味は分かった。同じく自殺しようとしていたのだ。俺はゆっくり頷いた。俺は男が見えない所へと移動した。俺はとにかく死にたかったからだ。

「いや〜!なかなか思い切れないもんですよね〜」

「わっ!」

 気づくと、背後に男がいてビックリした。

『おいおい俺は関係ないだろ?お前はお前で勝手に死ねよ!』

 と、怒りがこみ上げて来た。俺は場所を変えた。

「なんで死のうとしたの?」

 またもや男の声がした。

「もういい加減にしてくれ!」

 俺は男に怒鳴った。

「お前には関係のない事だろう!」

「まあまあ、そう怒らずに。どうせ今から死ぬのですから」

 と、男は呑気なものだ。ハアハアしている俺に、男は持っていた缶コーヒーを差し出した。

「まあ、飲みなよ〜」

 男はアッケラカンとしている。

「ふざけんな!俺はこれから死ぬんだよ」

「なんで?」

 それから俺は、なぜ死のうとしていたのかを、男にぶちまけた!そして、話が終えると……

「そうでしたか……まあコーヒーでも飲んで」

 俺は男の缶コーヒーをもらった。飲んだら冷たくて美味しかった。


「私もね、同じような理由でね。ここから飛び降りたんですよ」

ブハッ!

 俺は飲んだコーヒーを吹き出してしまった。

『またなに言ってんだ、この男は!』

「えっ?これから死ぬんですよね!?」

 男は、俺の心の声に返事していた。

「あっ!ごめんごめん。僕もう済ませたから〜」

 おいおい済ませたって!自殺をか!?

「僕ね、もう死んじゃってるの〜。あなたは……もう大丈夫だね!もう飛び降りようとしちゃダメだよ〜!!」

 そう言うと男は消えていった。俺の死ぬ気は無くなっていた。俺は、あまりの出来事に缶コーヒーをグビッと煽った。

『ちょっと待てよ!?』

 俺は慌てて缶コーヒーの製造年月日を見た!

『おいこれ何年前の缶コーヒーだよ〜!』

 俺は大慌てでコーヒーを吐き出した!すると……

『大丈夫ですよ〜、まだ賞味期限切れてないから〜!』

 どこからともなく、男の声が聞した。

『そうそう、缶コーヒー冷えてたでしょ?私、幽霊だから持ってるだけで飲み頃なんですよ〜!』

 俺は辺りを見回した。男の声は空から聞こえた。

『あっ、そうそう。じゃ……



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