暁 〜小説投稿サイト〜
竜のもうひとつの瞳
第四章〜おいしいごはんに誘われて〜
第十七話
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ら痛いどころの話じゃ済まないと思う。
だけど二人にすればいつも通りの流れなのか、そこには特に触れずに話を進めているからびっくりなのよね。

 「犬千代様が女子に無体を働いた、などという誤解を広めないためにございますれば、これも致し方なきことかと」

 「まつ〜……」

 前田利家でまつって言えば、前田利家の奥さんだよね。
随分昔の大河ドラマでそんなんやってたような気がする……てか、何で褌一丁。何故裸体。
そりゃ、いい身体してんなぁとは思うけど、外でその格好はねぇだろ。ヤバイでしょうが。
これが現代だったら即警察に捕まったところだわよ。

 えー……ひょっとして加賀のお殿様は露出狂、ってこと?

 「ところで、この辺りでは見かけない顔ですが……一体どちらから?」

 まつさんの言葉に私は若干引きながらも素直に答えることにする。流石に相手が相手だから誤魔化すわけにもいかない。
半分はとっとと答えて逃げたかったってのもある。というか、何かこれ以上関わり合いになるのは危険な気がして。

 「奥州から……加賀に料理の名人がいるって聞いたので、是非食べてみたいなと思って。
でも、その人が誰なのか聞かずに飛び出して来ちゃったもんだから困ってたところで」

 露出狂と出くわしたというわけです、なんて流石に言えないからその先は言わなかったけれども。

 てか、この人達こそ白昼堂々外で何やってたのよ。しかも旦那にそんな格好させて、何のプレイですか。
羞恥プレイ? ってか、旦那は全然恥ずかしがってないけど。いや、もしかしてそういう域を超えちゃったって奴?

 「……ちなみに、そちらは?」

 妙な答えが返ってこないことを祈りつつ、さりげなく私も聞いてみる。
二人の素性を全く信じたわけでもないけど、でも明らかに避けるのは不自然だしスパイ容疑でもかけられても洒落にならない。

 「山菜取りをしていたのだ。まつの作った山菜料理は絶品だからな!」

 「まぁっ、犬千代様ったら」

 ……何だこのバカップルぶりは。こいつらの周辺だけピンクのオーラが出てんぞ。

 「まぁ、まつの料理が絶品なのは山菜だけに限らないからな!」

 いや、聞いてねぇっての。つか、リア充爆破しろって言えばいいのか?

 「……あのー、一つ聞きたいんですが、利家様は外に出るのもその格好なんですか?」

 「? そうだぞ、某は家でも外でもこの格好だ!!」

 胸を張って言われると、逆に返す言葉も無い。それを本気で常識だと思っているようなのだから、何も言うことなど出来やしない。
こうなると寧ろ、変態というよりも野生児というイメージの方が近いような気がして、私は深々と溜息をついた。

 ……いや、いい大人なんだし着物くらい来よ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ