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極短編集
短編18「ドライフラワー・マリッジプラン」
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…」

 私の身体中から、光が溢れ出した。もう限界だ。私は、さよならのキスをした。



 式が終わり、親族だけになった。新郎は、新婦の父と二人だけで、喫煙スペースにいた。

「身体のほとんどが無かったんです。燃えてしまっていた……」

 そう言って、新郎は内ポケットから煙草を出して火をつけた。

「彼女の身体は、ほとんどが人工タンパクでした。人工タンパク・フリーズドライ法だったかな?」

「なんか、ドライフラワーみたいだなあ!ハハハハ……」

 新郎達の煙は、細く長く立ち上ぼった。そこへ医師がやって来た。

「この度は……なんと言って良いのか……」

 医師は頭を下げていた。

「こちらこそ、ありがとうございます。先生からのご連絡がなければ、式なんて出来ませんでしたよ」

 新郎は言った。現在の人工タンパク技術は、まだまだ不安定で、ごく小規模にしか使えなかった。彼女の身体は、ほとんどを人工タンパクにしたのだ。式まで持ってくれただけで、ありがたかった。

◇◇◇

 式の壇上で、新婦は目を閉じた。

 人口タンパクの崩壊。

 身体から漏れる光と共に、新婦は光の泡と消えた。壇上で、ウエディングドレスだけを抱き締める新郎。それを包みこむように、パイプオルガンの音色が……



 教会に響いたのだった。

おしまい



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