短編17「デートごっこ」
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「どうですか先輩?デートの下見って勉強になりますよね」
職場の後輩の女の子が僕の腕に、腕をからませている。僕より頭一つ背の低い後輩の髪からは、いい匂いがしていた。
「なっ!なんで腕を組むんだよ」
「デートの練習ですよ先輩!本番の為の実践です!!」
「なんなんだよその理屈〜!」
僕は後輩に押し切られる形で腕を組ながら街を歩いた。思えば突然、後輩から言われたのだった。残業で残っていた時だった。
「先輩〜。デートしませんか?」
突然だった。
「えっ!?」
後輩とは、他の同僚たちと一緒に、カラオケに行ったりしているぐらいだった。
「びっくりさせて済みません!実はデートの練習です」
「れっ、練習〜!?」
「そうです!練習です」
てな訳で、今日こうして二人で街中を歩いているのだった。
「デートで大切なのは、なんだか分かりますか?先輩」
後輩が僕に尋ねる。おいおい、そもそも誰の練習なんだ?僕は練習台なんだろ?大切ってなんだよ?
「いや、わかんない」
「も〜う!何かを一緒に見たり、感じたりするのが大切なんですよ!」
高揚した顔の後輩が、僕を上目使いに見た。
「あっ!先輩。頭にゴミついてる」
背伸びした後輩の顔が近づき、少し開いた唇に僕の目は釘付けになった。そのまま、あと数センチ唇を近づければキスが出来てしまう。
「ちっ、近いよ」
僕は、あわてて顔をそらす。
「あ〜先輩!今、キスしようとしたでしょ?」
「なっ、何言ってんだよ!違うって」
「先輩、がっつき過ぎです!まだ前菜にもなりませんよ〜。キスはデザートです!!」
と、言うと彼女は僕からスッと離れ、糸くずをフッと吹き飛ばした。
「次は、買い物に付き合って下さい!」
僕は、彼女に腕を引かれて、お店に向かった。
「なあ、ここ入れないって……」
「先輩はとにかく、側にいて下さい!」
僕は、後輩にランジェリーショップに連れ込まれたいた。
「先輩〜、見て下さいよ〜。すごく可愛い!」
「……恥ずかしくって、見れね〜って!!」
「私が履くと決まった訳じゃないんだから、大丈夫です!」
「なんだ!その訳わかんない言い訳は〜!?///」
僕は終始、恥ずかしさでいっぱいだった。
「で結局、買わないのかよ!?」
「買って欲しかった欲しかったですか、先輩?分かりました!では購入して今度、会社に履いて行きます!!」
「もう〜勘弁してくれよ〜!///」
「ちなみに今日は……クールな気分の、ブルーの水玉ですよ!」
僕は耳まで熱くなった。
「次は、先輩の好きなお店に連れて行っ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ