覚悟
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賊は弱い人間から何もかも奪い、奪われた人間はさらに弱い人間から何もかも奪う。
この負の連鎖を断ち切り、この世界を平和にする。
俺の大事な人と民達が平穏な日々を生きていけるように。
その為に俺は人を殺す。
殺した人の命を背負って俺は生きていく。」
俺の言葉を聞いて北郷は何も言ってこなかった。
ただ、俺の言葉を噛み締めているような気がした。
俺の覚悟を聞いて少しでも北郷の覚悟が固まってくれたことを祈る。
その日は修行をして終わった。
そして、七日目の朝。
答えを聞こうとした時、北郷は自分から俺の部屋に尋ねてきた。
「覚悟は決まったか?」
俺の言葉に北郷は言う。
その眼は真っ直ぐに俺を見つめていた。
「天の御使いとして生きていこうと思う。
俺がこうしてこの世界に来たのにはきっと意味があるから。」
覚悟は決まったようだ。
俺は立ち上がって北郷にこれからの事を説明する。
「なら、早速お前を保護してくれる奴に会いに行こう。
候補は何人かいるから、そいつらに会って「その事なんだけど。」・・・・どうした?」
「俺は関忠について行くよ。」
その言葉を聞いて思わず目を見開いた。
「覚悟は決まったけどまだ実感が湧いていないんだ。
この一週間悩んで決めた事だけど、それでも実感がない。
もしかしたら道を踏み外すかもしれない、迷うかもしれない。
だから、もし俺が道を誤ったら関忠が助けてほしい。
お前の覚悟を聞いて俺の覚悟も決まったから。
それに王になるんだろ?
なら、俺の肩書きは使えるだろ。」
最後の方は笑いながら北郷は言った。
俺は軽くため息を吐いて、尋ねる。
「零からのスタートだ。
死ぬような思い、辛いような思いが何度も襲うぞ。」
「天の御使いとして生きるんだ、それくらい覚悟している。」
そうか、と俺は言って手を差し出す。
「俺の真名は縁だ。」
「真名?」
「真名とは本人が心を許した証として呼ぶことを許した名前の事だ。
本人の許可無く真名で呼びかけることは、問答無用で斬られても文句は言えないほどの失礼に当たるから気をつけろよ。」
最後の方は軽く冗談まじりで言う。
「改めてよろしくな、一刀。」
「こちらこそよろしく頼む、縁。」
一刀は俺の手を強く握り返す。
この日、俺はかけがえのない友ができた。
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