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我が剣は愛する者の為に
覚悟
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北郷に説明を一通り終えた夜。
結局北郷は部屋から出てくる事はなかった。
俺は近くの店から酒を一つ購入して月を見ながら飲んでいた。

(偉そうに言うようになったな、俺。)

昼間の言葉を思い出して苦笑いを浮かべる。
いきなり、この世界に来て覚悟がどうのこうの話されても実感はないだろう。
そもそも、あまりに理不尽すぎると思う。
もし俺が北郷の立場なら、こうなった事を嘆き、きっと楽な道を選んでいる。
それとは違い、北郷は分からないなりに必死に考えている。
この世界に来たばかりの北郷にはつらい体験と言葉を投げかけた。

(でも、この世界は甘くはない。
 人が平気で死んで、大切な人が目の前からいなくなる世界。
 俺はそれを目の前で経験している。)

赤ん坊とはいえ、悔やみに悔やみきれなかった。
何度後悔したのか分からない。
意識はある、考える知性がある。
もしあの時、何かすれば父と母を救えたかもしれない。
拾われて修行しても母さんを守れなかった。
この世界は甘くはない。
だからこそ、北郷には後悔して欲しくない。
自分で選択した道を突き進んでほしい。
天の御使いとして生きる生きないに拘わらずに。
俺のような経験をしてほしくない。
もし、あいつがどちらに転ぼうとも生活が安定するまでサポートするつもりでいる。
酒を飲みながら俺はそう思っていた。
次の日の朝。
俺は北郷の部屋を訪ねる。
北郷は布団を被って寝ているようだ。
起こすのはまずいな、と思った俺はひらがなで書いた紙を置いて隣の部屋に戻る。
内容は出かけるのなら声をかけてほしいのと、腹が減ったら言ってくれ、と書いた。
幸い、金は溜めてあったので問題ない。
自分の部屋でイメージトレーニングなどをしながらその日を過ごす。
結局、その日は北郷が俺の部屋に来ることはなかった。
次の日も同じだった。
紙を置いて、部屋に戻って軽い修行をする。
三日目になっても出てくる気配がしなかった。
何も食べていないのを心配した俺は、肉まんなどを買って北郷の部屋に紙と一緒に置いておく。
悩んでいるのだろう。
俺は黙って待つ。
これは北郷一刀の人生を左右する事だから。
四日目の朝。
俺が北郷の部屋に訪れると、買って置いた食べ物がなくなっていた。
いつ借りたのか、筆で昨日の紙にありがとう、と書かれてあった。
それを見て思わず笑みを浮かべる。
また同じように食べ物を置いて、部屋を出て行く。
五日目の朝になると北郷が俺の部屋に訪れた。
何でも街の様子を見に行きたいとの事。
俺は刀を持って後ろについて行くことにする。

「好きな所に行ってくれて構わない。」

俺はそう言うと北郷はゆっくりと街並みを窺いなが
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