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我が剣は愛する者の為に
覚悟
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少し考えて気がついた。
俺は何をどうすれば良い?
何故この世界に来たのか理由も分からない。
先が全く見えなかった。

「お前はこの世界では天の御使いと言う事になっている。」

と、関忠が気になる発言を言った。

「天の御使い?」

「そう、占い師管輅が流星と共にこの乱世を救う救世主、天の御使いが現れると予言した。
 俺はお前が流星と共にやってきたのを直接見た訳ではないが、お前の事を指しているのは間違いない。
 この時代にはない素材の服、知識、まさにこの時代にとって天の御使いに相応しいものだろう。
 この肩書きを利用すればお前を保護してくれる輩も出て来る筈だ。」

でも、とそう言って関忠は言う。

「もし天の御使いとして生きるのなら覚悟を決めろ。」

「覚悟・・・」

「そうだ。
 お前が天の御使いとしてこの世界で生きるのなら、多くの人間がお前を頼ってくる。
 それらを導き、救うのがお前の義務だ。
 お前を守る為に多くの人が死んでいくだろう。
 その先に平和な世界が作られると信じて。
 この世界にやってきた事には必ず意味がある筈だ。
 そして、その意味はこの世界を平和にすることだと俺は思う。
 お前はその全部を背負い、導き、平和な世界を作る覚悟はあるか?」
 
「・・・・・・・」

すぐには返事できなかった。
出来る訳がなかった。
関忠の言葉はとても重く、俺はつい俯いてしまう。
それでも関忠は言葉を続ける。

「此処が分かれ道だ。
 お前が天の御使いとして生きるのか、それともそれを捨てて普通の人間として生きるか。
 当然、天の御使いとして生きるのなら危険は付きまとう。
 普通の人間として生きる方が楽だろう。」

言いたい事を終えた関忠。
再び二人の間に沈黙の空気が流れる。
正直、よく分からなかった。
自分が天の御使いとしてこの世界にやってきて、世界を救うのが俺だ、と言われても実感が全くなかった。
ただ、いい加減な気持ちでは駄目と言うくらいしか分からなかった。
長い沈黙の後、関忠は立ち上がってついて来い、と言う。
お代を払って街中を歩いて行く。
一際大きい家の中に入って行く。
関忠はその中の人と話をしてお金を渡す。
そうして俺に話しかける。

「一週間この宿をとった。
 その期間の間で答えを見つけてくれ。
 部屋はこっちだ。」

廊下に進み、扉を開ける。
中には布団などの宿泊するのに必要な物が置いてある。

「俺は隣の部屋にいる。
 街に向かう時は俺に声をかけてくれ。
 いい意味でも悪い意味でもお前は目立つからな。」

関忠はそう言って部屋を出て行く。
俺は引いてある布団に寝転ぶ。
そして、天井を見つめる。

(覚悟・・・か
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