生死乱れる紅の狂宴
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の何物でもないですが。
蹴落とすでは無く競い合えばいいというのに……ねぇ、お父様? 奪われないように強くなろうと思えば、それだけで高みに昇れたのではなくて?」
声を向けられても、喉が張り付いて何も言葉が出ない。
「ねぇお母様? 当主の親というだけで得た甘い蜜は、さぞやおいしい事でしょう? わたくしは夕さんと共に抗うと決めるまで、なんらおいしいと感じませんでしたが」
母でさえ同じように、ふるふると首を振るだけで何も言えない。
ため息を一つ。もはやこれまでにしよう、と。
「故に感謝を。わたくしは此れより、自身の力を誰かの為に振るえるのですから。
与えられた地位などもはや零。期待に応え続けなければ死あるのみ。裏返せば、わたくしが為したことは全てわたくしを表すということ。
その機会を作り出してくださった大切な友達、覇王曹孟徳と……壊れる程に平穏を願った同志、黒麒麟のことは……誰にも穢させはしません」
穏やかに微笑んだ。それなのに、ぞっとするような冷たさが其処にはあった。
「た……たすけてくれ……なぁ、麗羽」
「ああ、麗羽……本当に殺したりは、しないわよ、ね?」
縛られたままで、怯えを孕んだ視線が向けられる。
ズキリ、と麗羽の心が痛んだ。
人から堕ちたと言っても人の子。心は優しいままなのだ。
麗羽は紅揚羽の気持ちが分かった気がした。
――張コウさん……確かにこれは……寂しいですわ。
ずっと親から恐れられていた紅揚羽。その手を血で染めて血で染めて、それでも愛してくれていると信じていた。
寂しくて堕ちた。ずっと昏い闇の底に。それでもまだ信じていたから、彼女は救おうとしたのだと。
いざ目の前にするとこんなに違うのか……胸の痛みに自分の甘さを思い知らされる。
それでも、と思う。麗羽はもう決めていた。
「そう、わたくしの真名は麗羽。麗しく空を飛べるようにと。
ありがとうございます……と伝えさせてくださいまし。わたくしに素敵な真名をくださって」
ちゃきり、と剣を抜き放った。
脂汗を流す両親の表情が驚愕に変わる。
「いや……た、たすけて、誰かっ! いやよ! 死ぬのはいや! お願いよ麗羽ぁ! なんだってするからぁ!」
「やめろ麗羽! やめてくれ! なんでもする! これからは民の為に働くから!」
保身の言葉が耳に響き、麗羽の心に悲哀が浮かんでいく。
見てきた兵士達も、死んでいったモノ達も、此処まで無様に縋り付いたりはしなかった。
微笑みは儚げに。
誇り高き彼ら兵士達の生き様を思い出して、懺悔を込めた。
「お父様、お母様……今よりわたくしは世に飛び立ちます」
こんな状況では無くて平凡な家であったのなら、その言葉に歓喜
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