生死乱れる紅の狂宴
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り親の前だからではなかろうか……そう麗羽は思う。
そのまま、不快な様子の両親を放っておいて、彼女は尚も語る。
「小さき家の平穏だけを願う王にも、わたくしや袁家は届かない。
利と欲だけで動く人もいれば……心想と誇りで動く人も居るのですから。得てして乱世は、そういうモノによって鎮められて来ましたし……袁家が重く見なかったソレは人を強くする何よりの餌。
袁家も、わたくしも、そういった力を恐れていた。抗われるから抑え付け、足掻く者が怖ろしいから管理した。しかし人の心は度し難くもあり、そして気高く美しい。
わたくし達袁家の敗北は白馬の王を取り込めなかった時点で決定していたに違いありません」
袁家は白蓮を軽く見過ぎた。
成り上がりの小娘風情だと侮っていたから、黒の下へ駆ける白馬義従という怨嗟を生み出した。
始まりの躓きは後々に大きな支障を来すは明白。従うことは無かっただろうが、後の怨嗟を緩めるくらいは出来たはず。
ゆらりと頬に片手を添えて、麗羽は微笑んだ。
「そして人形である袁紹では……袁麗羽には敵わない。曹孟徳と黒麒麟の犬……大いに結構です。操り手が覇王と黒き大徳に変わっただけ? 否、否ですわっ」
カツンっ、と杖を鳴らした。
肩をびくつかせた両親の瞳には、少しだけ怯えがにじみ出た。
「わたくしは人々の願う平穏の為の使徒、袁麗羽。犬は飼い主に噛みつくこともありましょう?
世に平穏を齎せないその時は、民が覇王に怯える混沌の世が来てしまった時は、英雄が堕天したその時は、このわたくしが真っ先に民の剣となれ……それが黒麒麟と覇王の処したわたくしへの本当の罰。
あなた方に、この意味が分かりますか?」
無言。何も言わない二人に、麗羽はため息を吐いた。
「あの二人はたかだか自分の為に戦っているわけでは無く、常に世の平穏を思い描いています。袁家の虐殺を命じたのは覇王と黒麒麟。実際のところ、“真名を捧げさせられた”わたくしが被る悪名は其処には無い。それがどういう事かも分からないのですか?」
再び聞き返しても、二人は何も言葉を紡げない。
「……真名に関連した処罰を下し、儒への反逆である親殺し家殺しを“させた”覇王と黒麒麟はこれからあらゆる人間から非難されることでしょう。わたくしや他の者達が抗いやすく、転覆させ易い状況が出来上がり……彼女と彼は悪にも善にもなれる。
他の英雄に敗れれば悪で、天下泰平にして平穏な世を築けたのなら善……戦の論理で自分達を追い詰め、一人の民に至るまであの二人に抗う機会を与えた。一度でも躓けば……あの二人は地に堕ち、この大陸に夜が来ます。そんな冷たい道を行くのにどれだけの覚悟を持たねばならないか、あなた方には分からないのでしょう?」
常勝不敗の曹操軍は、黒
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