第十四話
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それは。
「ペストって、もう対策は確立されてるんだっけ?」
「うーん、確立されてるわけじゃないわよ。肺ペスト、っていうのはもう死亡率ほぼ百パーセントだし、ワクチンによる適切な処置をしなければまず間違いなく死亡。とはいえ、日本では1930年に起こって以来発病はないわね」
「なら、意外と弱かったりしないのか?ほら、『もう対策は出来た』とか『それ以来起こっていない』とか、噂が広まるとロアの力は弱くなるんだろ?」
「よく気づいたわね。偉いわ、カミナ」
ほめられた、ちょっと嬉しい。
「とはいえ、そう上手くいってるならあたしは来てないわね」
「やっぱり、上手くいかないのか?」
「ええ。なにせ、彼女はなにもペストだけの存在じゃないもの。噂の始まりは魔女裁判にあった魔女だから、普通の魔術も使えるし」
つまり、一般的に魔女ができそうなことは一通りできるというわけだ。そこにペストという要素が加わった、と。何それ超怖い。
「他にも、ペストが関わる逸話とかはいくらでもあるから、それが人に知られている限り消えることもないもの」
「消えない、ってことは童話みたいに広く知られてるものなのか?」
「それもあるわね。例えば……ペスト説はほぼ支持されてないけど、『ハーメルンの笛吹き男』」
なんとなく、聞いたことがある。カラフルな服を着た男が笛を吹いてネズミを追い払ったり、子供を連れ去ったりする話だ。
「これは、実際に起こった『子供が一斉にいなくなる』っていう話がモデルになってるの。それで、その実話の説の一つがペストによる集団感染」
「それで、ペストというものが語られ続けて、その魔女も力を?」
「そう言うこと。他にも探せばいくらでも出てくるし、ペストっていうのは関係のなさそうな話からも影響を受けたりしちゃうし」
「関係ないのに、なのか?」
「間接的に、ね。簡単に説明すると、ペストが流行した時代にはペスト医師っていう人たちもいたんだけど、その中には今でも都市伝説として語られることがある有名人もいるのよ。そういう人たちのことが語られることによって、間接的に力を得るの」
「ペスト医師、ってんならむしろ力をそいでくれそうなもんだけどな」
「そう上手くいかないのよねー。ほら、ペストって病気を出来る限り怖く、恐ろしく語れば、比例してペスト医師として活躍した人も凄そうになるでしょ?」
「ああ、なるほど」
つまり、期せずしてペストの恐ろしさまで噂され、人に知られていくということだ。何ともまあできたシステムである。
「しかもそれが、ノストラダムスとかパラケルススとか、超有名な人だからもう……」
「それは確かに、いくらでも強くなっていきそうだよなぁ……」
ノストラダムスの大予言で有名なノストラダムスと、錬金術師として
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