第4話Aパート『見知らぬ、天井』
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たウィル子が、ゴスッと医者の頭にチョップを振り下ろした。
「マスターこの病院はヤバげです。さっさと退院するのですよ」
そもそも、何故こんな病院に入院しているのか。たしか、大会参加者は優遇される指定病院とかがあったはずだが。
「いや、大会指定の病院はどこも手一杯で」
よくわからないが、200人からの患者が詰め掛けていたらしい。
ところが無言の医者に、目の前に紙切れが突きつけられて。そこには請求書とあり、金額の欄に0が6つ並んでいた。
「300万!?何で、そんな額になるのですかー!?」
「霊薬、…世界樹の雫でもいいさ。けど。そういったものを使ったのさあ。キケンだったからねえ?」
そんなものが実在するのかは不明だが、高価かつ当然保険の適用外で。明細上はそのアンプルを3本打ったことになっていた。
「いひひひひっ。何なら、キミの腕にドリルを移植する権利をボクが買おう。1本100万でどうだいぃ?」
つまり、左右の腕と、片ヒザを犠牲にしろと。…乳首ドリルは、ない。いくらなんでも。ない。
ともかく、今日中に支払えなければ、ドリル移植手術だ。と念を押されて、やっと解放された。
外から見ると、廃墟一歩手前の雑居ビルを一棟占有する病院で。見上げると看板、『伊織総合ホスピタル』。
「はふぅ…、大変なことになったのですよー」
肩を落とすウィル子。大会三日目にして、負債額300万。ともかく金策に奔走しなければならなくなった。
◇ ◇ 2 ◇ ◇
第三新東京市の中心部付近。ヒデオとウィル子が立っていたのは、金融会社の前だった。
大きな看板を掲げていないが、見た目には大手旅行代理店か携帯ショップかといった風情で入りやすそうではある。
しかし、借金か。それだけはすまいと、自殺まで決意したというのに。まさかこんな形で…。
入り口のスモークガラス、中央に小さく店名を示すプレート。『伊織金融商会、第三新東京市中央店』。
ふと、見覚えのある字面だな。と思った、そのときにスモークガラスの扉の内側に、べたりと何か赤いモノがへばりつき。
「た、たすけ…、お金、返しま…ひ、ぎゃあぁぁぁぁっ」
へばりついたモノが不明瞭な言葉を発する。途中からは悲鳴に変わり。
最後には引きずり戻されたらしく。しーん。と、静寂。防音性の高い扉らしく、内側でどんな惨劇が繰り広げられているのか窺い知れない。
気付く。『伊織』総合ホスピタル、そして『伊織』金融商会。同族経営か、グループ会社か。
「マ…、マスター。ここはっ、ここもヤバイのですよー。」
慌てて別の金融会社を検索して。しかし。
「…信じられない。」
より落ち込んだ様子で。
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