第30話 会話が切られるきっかけって大体がクシャミ
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、あり‥‥‥が‥‥‥とう‥‥‥」
俺は嗚咽しながらお礼を言った。
そして、そのまま泣き始めた。
俺は他人を不幸にする星の下に生まれたらしい。
今回のような事故だけでなく、前にも何度か
一歩間違えば死んでいたであろう事故が起きていた。
“俺が大切だと思う人”ほど不幸はより強くなるようだ。
現にそれが当てはまるおばさんやマイケル、父さんは
よく不幸に襲われている。
つまり、俺は人を大切に思えないのだ。
いや、思ってはいけないのだ。
大切だと思ってしまえば、その人は不幸になる。
幸せに生きる権利を持つ人々を不幸に落とし込む。
俺は‥‥‥‥‥‥‥自分を恨んだ。
ザーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
朝から嵐が俺たちの町を襲っていた。
豪雨が窓を叩き、暴風が木々を揺らしていた。
「今日、天気悪いね‥‥‥」
俺は窓の外を眺めながら言った。
外には誰一人出歩く人は見えなかった。
「そうだなぁ‥‥‥‥‥」
父はそう言うと、さっき入れたコーヒーを飲み干した。
「お父さん、今から頼まれてた修理に出るけど
ジェーンは危ないから外に出ないようにね」
ティーカップを流しに置くと
父はいつもの道具とコートを掴んで
入口へと向かって行った。
「お父さん、気を付けてね‥‥‥‥」
自らの不幸と言う名の呪いを知っていた俺は
バッグを床に置いてコートを着る父の後ろ姿に心配そうに言った。
「あぁ、ジェーンも気を付けるんだぞ?」
ギィ‥‥‥ッ
そう言って開いたドアの隙間を通って向こうに身体を運び。
ガチャンッ
ドアを閉めた。ドアに張られたガラスから覗く
父の後ろ姿が完全に見えなくなるまで俺は立ち尽くしていた。
「‥‥‥‥帰って来るよね」
確信のない不安が俺の中に広がっていった。
**********
「‥‥‥‥‥ヘクシュッ!」
俺は話の途中に大きなクシャミをした。
そして、鼻を啜った。
「この中で上を脱いだら、そりゃ寒いだろうな」
アスラは笑いながらそう言った。
話しているうちに完全に体が冷えてしまったようだ。
しかも風邪を引いているというのに
この服装は愚行というに他ならない。
「早く服を着た方がいい。これ以上
風邪がひどくなったら大変だからな」
迅にそう促されたので俺は上を着た。
よく考えたら、包帯で隠れてたとはいえ
ほぼ裸の上半身を全員の前に晒していたのだ。
そう思うと、急に恥ずかしくなった。
熱とは別のもので身体が熱くなるのを感じた。
「はい、ジェーンちゃん」
マリーが俺に毛布を掛けてくれた。
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