第30話 会話が切られるきっかけって大体がクシャミ
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り飛ばした。
ボールは主を失い、ただ次の主を求めて向こうへと転がって行った。
「待てーッ!」
俺は一心不乱にボールを追いかけた。
そして、ようやく追いついて足で止めると
そこはすでに公園に敷地内ではなく、車道の上だった。
キキィィィーーーーーーーーーーーッ!!
黒い車が俺の姿を確認してブレーキを踏んだ。
しかし、とてもじゃないが間に合いそうにはなかった。
轢かれる。そう確信した俺は目をギュッとつぶった。
「危ないッ!ジェーーンッ!!」
記憶が抜け落ちていた。何があったのか。
俺は何故、車道で寝ているのだろうか。
「う‥‥あ‥‥‥痛っ‥‥‥」
どこで怪我したのか。体に擦り傷が出来ていた。
そして、あの時の光景が鮮明に思い出された。
危ないと叫ぶ男の子。
俺は再び目を開く。
黒い鉄の塊はすぐそこに来ていた。
男の子は俺を突き飛ばした。
俺はそのまま転がった。
そして、意識を失った。
「‥‥あっ‥‥‥マ、マイケル‥‥‥」
俺は身体を起こして周りを見回した。
そして気付いた。ここは歩道だった。
車道が隣に見えたので勘違いしただけだった。
「あ。大丈夫か、ジェーン?」
マイケルが俺に訊いてきた。
おそらく突き飛ばしたのは彼だろう。
よく思い出してみると、彼の声だった。
そして、俺を突き飛ばした後
そのままの勢いで避けたのだろう。
「イテテ、おれもこけちまったよ。ハハハ」
否、勢い余ってこけたらしい。だが
そのおかげで、車に轢かれなかったようだ。
代わりに腕や脚には擦り傷がたくさん出来ていた。
彼は自分がドジをしたかのように笑った。
その原因を作ったのは俺なのに。
「う、うぅ‥‥‥‥」
俺の目に涙が溜まっていった。
そして、それはそのまま頬を伝って地面に流れ落ちた。
「ごめんね‥‥‥あたしのせいで‥‥‥グスッ」
あまりの情けなさに涙が出てきた。
周りのみんなは心配そうに俺に
「痛いの?」「他にも怪我してるの?」と声をかけて来る。
だが、それが逆に俺の心を追い込んだ。
「とうっ」
ビシッ!
「いたっ!‥‥‥マイケル‥‥」
マイケルは俺の頭にチョップを打ち込んだ。
俺は片目を擦りながら顔を上げた。
「お前よりおれの方が強い。
もしお前が困った時はいつでも助けてやる」
マイケルの一言に俺はポカンとしていた。
「女の子を守ってあげるのが男の仕事だって
ママが言ってたからな。だから
お前が気にする必要はない」
そう言って、俺に笑顔をくれた。
照れくさそうな、はにかんだ表情だった。
「あ
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