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油すましと赤子
4部分:第四章
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しているせいでじゃ」
「ああした妖怪が出て来た」
「成程ね」
「わかったら油は粗末にするな」
 二人に対して咎める調子で告げた。6
「これでわかったな」
「いや、こうしたことになったなんてな」
「妖怪の仕業だったとはねえ」
「妖怪は何時でもおる」
 その妖怪の言葉だ。
「人間と一緒にじゃ」
「そうか、つまりはあれか」
「そうだね、あれだよ」
 二人はここで相槌を打った。その相槌の根拠は。
「暮らしの中に妖怪あり」
「そういうことだね」
「いや、こりゃ油断できねえな」
「そうだね。本当にね」
「なら油を粗末にせんことじゃ」
 このことをまた言う油すましだった。
「わかったな。くれぐれもじゃ」
「じゃあそうするか」
「そうだね」
 このことにも頷いてだった。二人は納得したのだった。
 以後二人は油は粗末にせず残ったものはしっかりと元に戻したり節約するようになった。それ以後妖怪に油を舐め取られることはなくなった。神田に伝わる古い話である。


油すましと赤子   完


                  2011・7・24

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