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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
悔しさ
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シロは手を動かし、鍛えている分肩幅も大きく、広い背中を洗っていく。

「よし、お兄さん右腕上げてー」
「あいよー」

自分で洗う部分は終わった一輝は、ヤシロに言われるままに体を動かしてヤシロが洗いやすいようにする。
ヤシロは新たにボディーソープを泡立てると、一輝の腕に自分の腕をからめるような体勢でその腕を洗う。体格差の都合上腕以外の部分も一輝のからだにあたっているのだが、まあ相変わらず二人に気にする様子は見られない。というかもう、ヤシロの方はわざとだろ。

「うんうん、意外と楽しいね〜。他の人の体を洗うのって」
「そうなのか?俺は今、妙なくすぐったさと違和感を感じてるんだけど」
「貴族っぽいなー、とかそういう優越感は?」
「これがまた見事にない。強いて言うなら、真新しさを感じるかな」
「不快?」
「それは一切ないから安心していいぞ」
「なら続けるねー」

そう言ったヤシロは逆の腕も洗い、桶に湯をためて泡を流していく。そうして泡を全て流してから、次は頭に湯をかけて髪を湿らせる。

「じゃあ次は頭を洗うから、一応目を瞑っておいてね、お兄さん」
「あいよー」

一輝が言われたとおりに目を瞑ると、ヤシロは髪を洗う。表面だけではなく地肌まで洗い、佐羅にはマッサージまで組み込んでと、中々に有能だ。

「なんつーか・・・慣れてるのか?」
「そうでもないよ。ただ、ちょっとロアの知り合いからコツを聞いてただけ。うまくできてるかな?」
「出来てるよ。すっごく気持ちい」

その言葉にヤシロはさらに笑みを浮かべ、指を動かす。
背中に比べて面積が少ないおかげか、頭を洗う作業は比較的すぐに終わり、二人はそろって風呂を出る。ヤシロはただ一輝と一緒に入るために来ただけなので、またあとで洗うつもりなのだ。
ついでに洗ってしまえば、というのは気にしない方向で。

「じゃあお兄さん、マッサージするねー」
「よろしく。・・・大分硬くなってると思うから、無理そうだったら遠慮なく言ってくれ」

うつぶせに寝転がった一輝にそう言われ、一輝の腰辺りに座っているヤシロはまず肩に手を当てると、

「・・・本当に硬いね。冗談じゃなくて石みたい。人の体ってこんなになれるものなの?」
「体質もあるみたいだけど、呪力で強化したりするとこうなる。ほぐせばちゃんとほぐれるんだけどな・・・」
「そっか・・・じゃ、頑張る」

そう言ったヤシロは座る位置をもう少し前にして、体重をかけるようにして肩をほぐそうとする。

「あっ、ん・・・ふにゅ・・・」
「辛いか?」
「大丈、夫・・・んっ・・・」

とりあえず力ずくでもほぐさないと始まらないので、力を込める。途中でこのままでは無理だと気付き、曲げた肘を乗せてグリグリしたりもするが、辛そうな声
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