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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
悔しさ
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二つ以上に、考えるまでもない。
何せあいつは、自らの持つすべてを尽くして戦ったのだから。アジ=ダカーハが消えた瞬間、あいつはなにもできずにただ落ちてきた。身体中の力は抜け、目を閉じ、本当になにもできない状態となって。
本拠に運び安倍晴明に見せたところ、呪力や生命力等いきる上で必要なものがほとんどなくなっていると言われた。文字通り、命を削って戦ったあいつに、蛮勇がなかったわけがない。命をかけて、命を削って戦うというのは、そういうことだ。
つまり、あいつは間違いなくアジ=ダカーハの望む勇者であった。
自分とは違い、新に資格のあるものだった。
だからこそ、最後にあの二人は互いに認めあっていた。
鈍色の、美しいとも耀いているとも言えない、しかし目をそらすことができなかった一撃。抜き手の形で放たれたそれがアジ=ダカーハの心臓を貫いたとき、そのままの体勢で互いに神託を与えあった二人は、本当に認めあっていたのだ。
自らを倒すに値する勇者として。
全力を出し、命をとして戦うに値する相手として。
互いのすべてを見せあい、感情のそこまで出しあえる相手として。
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ノーネーム本拠、十六夜の私室。
一輝が目覚めたときき、ギリギリまで帰らずにすむようにしたものの、これ以上居残ることはできないとなったので帰ってきた、十六夜。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。クソッタレ。)
十六夜は見てしまった夢の内容を忘れるために頭を振り、汗に濡れたシャツを脱ぎ捨てる。そして、回想する。
自分がやるべきはずだった役目を。自分がたどり着きたかったレベルの力を。それを目の前で見せたあいつを見て・・・
「クソ!!」
ただただ、悔しかった。
========
「ハッハッハッハッ」
一輝は走っていた。理由としてはとても単純で、落ちに落ちた体力と筋力を戻すためだ。
自分自身を神とすれば体は自然と全盛期のものになるのだが、ずっとそうしているわけにもいかないし、何より本人も周りの人もその神威に当てられてきづかれしてしまう。それでは何がしたいのか、という話しになるのだ。
「ふい〜、疲れた〜!!」
そんな一輝はランニングを終え、『ノーネーム』の子供たちが主だってやっている農園のすぐそばに倒れこんだ。
「あ、一輝さん。お疲れさまです。もしかして、今までずっと走っていたんですか?」
「ん?ああ、リリか・・・走ったり木を駆け上がったり川を走ったり、ほとんど走ってたかな。腕立てとかもしたけど」
それはもう色々と落ちた一輝は、『とりあえず走るか』という考えのもと、とにかく走った。
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