番外編:パラレルワールドに行きます 〜その二〜
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の?」
“イッセー”の余りの言い草に黒歌が若干慄くがそこは持ち前の軽さか、スルーする方向で受け流した。そんな姿にこの世界の小猫は平行世界の自分達姉妹はどうなっているのだろうかと複雑そうな顔を浮かべる。だが、そんな空気も読まずにヴァーリがブツブツと呟く。
「やはり、戦うなら赤龍帝の方か。だが、同じ白龍皇と戦う機会など二度と来ない……そうなるとやはり白龍皇か……いや、だが」
そんなことを呟く間にそのまま去ってしまおうかと考えるイッセー達だったが一人だけは違った。可愛らしい童顔でヴァーリを見つめたのちにヴァーリへと話しかける。
「ねえ―――お兄ちゃん」
「お、お兄ちゃん…だと? 俺が?」
「うん、同じヴァーリだと呼びづらいでしょ」
そう言ってヴァーリの所まで飛んでいく“ヴァーリ”。ヴァーリの方は普段は無表情しか浮かべない顔に珍しく困惑の色を覗かせていた。そして“ヴァーリ”が到着したと思った瞬間に―――“ヴァーリ”はこけた。何故か、空中で。その事に若干パニくりながらもヴァーリはそれを受け止める。
「ありがとう、お兄ちゃん!」
そして、顔を上げて天使のような微笑みでヴァーリにお礼を言う。その瞬間、ヴァーリの中の何かに雷が落ちた。
「アルビオン、目的は異なる赤龍帝ただ一人だ。俺には妹を傷つけることなどできない」
『ヴァーリ……たったあれだけでシスコンになったのか』
お兄ちゃんと呼ばれたことが効いたのか、“ヴァーリ”を実の妹だと判断したヴァーリに対してアルビオンが呆れた声で呟く。そんなところに平行世界の“アルビオン”が何やら嬉しそうに話しかけて来る。
『聞いてくれ、もう一人の俺! 今日は“ヴァーリ”が初めて目覚ましが鳴って五分後に起きたんだ!』
『まて、既に五分寝坊しているのではないか?』
『細かいことを言うな! いつもなら俺が起きろと言っても『うーん……あと五時間』と言って三十分は目を醒まさないのだぞ! それが初めてこんなにも早く……ううっ。今までの努力が報われた気分だ』
『……苦労しているのだな、お前も』
感涙するもう一人の自分に対してアルビオンは哀愁の漂う声でそう返す事しか出来ない。そんな様子を見つめる、他の者からは呆れた目線と暖かな目線が向けられる。因みに暖かな視線は一緒に住んでいる“イッセー”達だったりする。
「さて、唐突で悪いんだが、もう一人の赤龍帝。俺と戦ってくれないか?」
「誰が、そんな面倒くせえことするか」
「だとしても、俺は君と戦いたいんだ。もし君が戦わないのなら、君の家族を……まあ、これは冗談―――」
冗談だと言おうとした、ヴァーリ
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