番外編:パラレルワールドに行きます 〜その二〜
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、うん。ちょっと待っててね、ダーリン。すぐ終わらせるから」
俺が見た光景は、誠心誠意の見事なまでにシンクロした土下座をする二人のゼノヴィアと、今まさにトンファーを振りかぶった状態で俺の方を見てニッコリと可愛らしい笑顔を浮かべているイリナだった。正直に言って、何を終わらせるのかが非常に気になるが聞かない方が安全だと超直感が告げているので俺は黙って頷いてその場を後にする。
因みに、俺についてきたこの世界のグレモリー眷属共も、何も言わずにサーっとこの世界のイリナから離れて近づこうとしない。『酷い! 私はこんなことしないのに!』などと叫んでいるが、まったく効果はないようだ。……いっそ、哀れだな。その後、二つの断末魔の悲鳴が聞こえてきたが“イリナ”がとてもいい笑顔で二人を引きずって帰って来たので取りあえず、生存はしているようだ。
「中々、面白いことが起きてるじゃないか。兵藤一誠」
「げっ、ヴァーリ!」
この世界のイッセー一行と、平行世界の“イッセー”一行の前に現れたのはこの世界の白龍皇である、ヴァーリ・ルシファーであった。その姿を見た瞬間この世界のイッセーはあからさまに嫌そうな顔をする。別にヴァーリのことが心底嫌いというわけではないのだが、この状況で現れたという事は十中八九、平行世界の自分か、“ヴァーリ”と戦う為だろうと察したからである。
そもそも、どうして一緒に移動していたのかというとこれ以上迷惑をかけるのは悪いという理由でせめてこの世界にいる間だけでも世話をしようと思ったからである。それに対して悪態を吐いていた“イッセー”だったが、不思議なことに同行事態は拒否しなかった。
そのため、イッセーは何だかんだいって優しい人間なのだと彼の事を分析していた。そして、同時に常に先頭に歩き続けるその背中に自分とは違う、気高さを感じて少しのあこがれも抱いていた。だからこそ、彼の為に面倒事を引き寄せたくなかったのだが、三人もの二天龍がいるという異常事態ではそんな願いは無意味だった。
「君だな、もう一人の赤龍帝は。どうして二人いるのかは分からないが、大方アザゼルのせいだろう」
「……俺達の周囲にはクロームが幻覚を張ってたはずだが?」
「それは私にゃ。結構強力だけど、まだまだ私を騙すには力が足りないにゃ」
ヴァーリの言葉に答えることもなく、“イッセー”は自分の疑問をヴァーリにぶつける。そんな“イッセー”の問いにこの世界の黒歌が答える。それを聞いたクロームは少し悔しそうに顔を歪める。恐らくは自分の術が破られたことが悔しかったのだろう。
「ちっ、どっちのカス猫も気に入らねえことばかりしやがる」
「にゃ? 私ってそんな酷い呼ばれ方してる
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