第一部 破滅からの救済者
無印編 駆け出し魔法少女と群青の巨人
青い光
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がそれを止めたことがきっかけで友情を深めていったのだ。
「よーし、みんなよく頑張ったな。今日はご褒美にたくさん食わせてやる!」
士郎から告げられた言葉に、サッカークラブの少年たちは大喜び。そんな中、チームメイトの中にポケットから何かを取り出した少年がいた。
偶然それを見たなのはは、思わず目を疑った。ひし形で水色の、数字が掘り込まれた小さな宝珠。
少年はポケットにその宝珠を戻した時、彼女の肩に乗っていたユーノがなのはに声をかけた。フェレットが喋るとまずいので、念話(テレパシー)で。
『なのは?』
『え?あっ…なんでもないよ』
きっと見間違いだろう。そう思った彼女は笑って誤魔化した。だが、それは彼女が魔法少女となって初めての失敗となること、海鳴市全体を悪夢に陥れることになると誰が予想したのだろうか。なのはのあれは、見間違いなどではなかった。
少年が持っていたのは、ジュエルシードだった。
「く…」
海鳴市の森。右腕に青いクリスタルを携えた腕輪、黒いシャツとジーンズを着こんだ、短い金髪の髪に青い瞳の青年。髪と瞳の色に関してなんとなく皆さんは架空の人物によくいると思うだろう。そんな特徴的な風貌の青年は、右手についたかすり傷に左手を当てた。すると、彼の左手から優しい青の光が発生、たちまち右手のかすり傷は跡形もなく消えた。
「奴らの侵入を許してしまったか。被害が出る前に仕留めておかねば…」
青年は立ち上がると森の出口に向かって走り出した。
夕方、ジュエルシードを持っていた少年はポケットからジュエルシードを取り出した。
実に不思議な石だ。手に持っただけで願いを叶えてしまうとは。ジュエルシードには手にした者の願いを可能な限り叶える力を持っている。だが、それは人だけでなく、動物や植物の生態系としての本能さえも願いとして力を発動しかねない危険なものでもあった。
少年は夕日に向かってジュエルシードをかざしてみる。夕日の赤い陽光に照らしてみると、より綺麗に見えた。
「あ!」
少年はポケットに戻そうとした。しかし、誤ってジュエルシードを街の建物のすぐ側に掘られた小さな溝に落としてしまう。
「ああ〜、せっかく拾ったのに…」
ひどくがっかりした様子で少年は落ち込んだ。
これがまさかこの日の悪夢に繋がるとは思いもせずに。溝から落ちたジュエルシードは、溝から繋がっていたパイプの中に流れ落ち、やがて真っ暗な闇の底に落ちた。
すると、落ちた場所で奇妙な緑色の光が文字のような形をなした。
直後、海鳴市全体に地震が起こった。アスファルトの地面が割れ、裂け目から植物の根が飛び出していく。それはたちまち街全体に拡がり、街の人たちは突然のことにただ驚きと恐怖を感じて逃げ惑いだした。この異変は、自宅で待機していたなのはにも感じ取られた。
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