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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、少女を抱きしめる
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当ててしまった場合、そのパーティの生還は絶望的となってしまうからだ。

───シーフがトラップを引いたのか……?

僕が最後に会った時。あの段階でのサチのレベルは、確か28か29だったと記憶している。そこから今日までの間、毎日狩りを続けていたのだとしたら、多少上がって30台前半といったところだろう。
彼女はパーティ内で一番レベルが低いという話だったから、他のメンバーはサチよりもいくらか高いレベル───恐らく35前後はあったはずだ。狩りをする階層の数字に10を足したレベルが、ソロでの安全マージンの目安だと言われている。なので、6人パーティの《月夜の黒猫団》にとって、第27層は十分に安全圏内だっただろう。
そんな彼らが全滅するからには、シーフ(罠解除や開錠といった探索スキルを重点的に鍛えているプレイヤーの総称)クラスのプレイヤー───このパーティでいうなら、ダッカ―という名前の彼だったはずだ───が、誤ってアラームトラップを作動させてしまい、転移結晶で離脱する前にやられてしまったと考えるのが一般的だろう。
実際にあのダンジョンで戦ったことがある僕から見ても、その可能性が一番高いと思った。第27層の迷宮区が発見されたばかりの頃、トラップに引っ掛かって半壊するパーティが後を絶たなかったからだ。
思ったの……だけれど。
どうして、僕は───


「──ッ!!」
そこまで考えて、再びサチの名前に目を向けた───その瞬間。僕の頭の中で、不意に何かが繋がった。
バラバラになっていたパズルの、最後のピースを嵌め込んだ時のように。
手繰り寄せていた糸が、的確に目的地へと───違和感の正体へと、繋がった感覚。

───まさ、か。

黒鉄の碑に刻まれた彼女の名前を目にした時に、僕が抱いた違和感。
サチ。6月12日16時54分。貫通属性攻撃。簡潔な───あまりにも簡潔な、その死因。
その死因が───違和感の、正体。あまりにも簡潔すぎて見逃してしまった、僕が感じた違和感の根源。

ルシェから聞いた情報が、全て正しかったのだとしたら。
《月夜の黒猫団》が、本当に、第27層の迷宮区で狩りをしていたのであれば。少し前の僕たちが第27層で戦っていたモンスターが相手だったのだとしたら。
“貫通属性攻撃による死因は、有り得ない”。
“何故なら第27層に、貫通属性の攻撃をしてくるモンスターは配置されていないのだから”。

採掘用のピッケルを携えた人型モンスター《ゴブリンワーカー》。主に斬属性の攻撃を行う。
石造りの巨体を持ち、打撃以外の物理攻撃に耐性を持つモンスター《ストーンガーディアン》。このモンスターからの攻撃は、全て打撃属性を持っている。
他にも数種類ほどのモンスターが配置されているものの、それらもこのモンスターたちと同じく、貫通属性
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