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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、少女を抱きしめる
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次の二人も、サチと同じく死亡時刻は16時50分前後。つまり、その時間帯に、パーティを壊滅に追いやった“何か”が起こったということだ。
彼らの死因と死亡時刻を頭の中で整理しながら、今日一日の黒猫団の足取りをシミュレートしていく。
パーティが壊滅した時間帯───17時頃といえば、ダンジョンでの狩りを終えて街に戻る途中だったと考えるのが妥当だろう。
個人やギルドの方針によって異なるものの、このゲームに囚われているプレイヤーたちの大半は、現実世界と同じように、昼間に狩りをして夜は休むといったサイクルで日々を過ごしている。
したがって、朝の9時から夕方17時までを目安として狩りを行うパーティが多く、効率を求めるプレイヤーはあえて深夜帯でのレベリングを選ぶといった傾向がある。
サチの所属するギルド《月夜の黒猫団》もそんな例に漏れず、午前中に狩りに出かけ、夕方には拠点としている街《タフト》に戻り、宿屋の食堂で夕食をとるのが日課だと聞かされたことがある。

午前中にサチとルシェとの間で行われていたメッセージのやり取りでは、サチを含めた黒猫団の一行は今日、第27層の迷宮区で狩りをしていたそうだ。
その迷宮区は最前線から3層下に位置するダンジョンで、フィールドに比べて稼ぎはいいものの、毒ガスや通路封鎖、アラームといったトラップが多数設置されている危険地帯でもあり、リリアの罠解除スキルがなければ僕たちも苦戦していただろう。

中でも宝箱に仕掛けられたアラームトラップの危険度は群を抜いていて、21層の時計塔を模した迷宮区で僕たちが戦ったモンスター、《ファイティング・クロックマン》───あの時計怪人が稀に行う特殊アクションと同じ効果を持っており、更に厄介なのが、自身と同族のモンスターだけを集める《ファイティング・クロックマン》とは異なり、宝箱に仕掛けられたアラームトラップの場合、周辺にいる全てのモンスターが種族を問わずに集まってきてしまう。
それを阻止するためには、宝箱自体を破壊してアラームを止ればいい……と、言うだけなら簡単なのだけれど、実際に発動してしまうと、トラップを引いてしまったことに動揺してしまうプレイヤーが多く、追い討ちをかけるように押し寄せるモンスターからのプレッシャーもあり、なかなか実行に移すことができないというのが、このトラップの厭らしいところだ。
こうしたトラップが多数仕掛けられているということもあって、第27層迷宮区で狩りをするプレイヤーは、宝箱を開くといった簡単な動作にも常に細心の注意を求められる。
第17層のダンジョン《荒くれ者の墓所》の最奥に位置する広間のように、《結晶無効化エリア》に設定されているゾーンも多数存在し、転移結晶による咄嗟の離脱すらままならないといった状況に陥ることもある。そんな状況下でアラームトラップを引き
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