空白期 中学編 14 「風邪を引いた王さま」
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う」
「それはそうだな」
ショウは静かに背中を向けると扉に向かって歩いていく。家の中にいるのは変わらないはずだが、先ほどまで近くに居たせいか寂しいという感情を覚えた。風邪で弱っているからだろうが、彼が言ったようにまだまだ我は子供らしい。
「……ショウ」
「ん?」
「……ありがとう」
ただ感謝の言葉を述べただけなのに、我は異様に自分の顔が熱くなっていくのを感じた。おそらく彼に対して「ありがとう」という言葉をあまり使ったことがなかったからだろう。いつもはすまないといった言葉を使っていたはずだから。
赤くなった顔を見られたくなかった我は、ふとんに包まるように寝転がった。微笑ましい顔をされているような気配がするが、気にしてはダメだ。
ショウは「何かあったら呼べよ」と言い残すと部屋から出て行く。流れ始める沈黙に耐えられなくなった我は、静かにふとんから顔を出した。
「……何をやっておるのだ我は」
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