空白期 中学編 14 「風邪を引いた王さま」
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ないだろうさ」
「ふむ……まあ良いことではないか。そのような出番はないことに越したことはない」
「そうだな」
そこでいったん会話が途切れるが、気まずい雰囲気にはならない。穏やかな時間が流れていると言えるだろう。このように心が安らいでいるのを感じるのは久しぶりの気がする。
最近は休日もあまり一緒にいることは少なかったからな。我は家事やシュテル達と買い物に行ったりしておったし、こやつはデバイス関連のことで魔法世界のほうに行くことが多かった。それに先週あたりは
「……そういえば、貴様はキリエと買い物に行ったそうだな」
「ん、まあ」
「あやつの相手は思ったよりも大変であろう」
あやつが主にからかっておるのは姉のアミタではあるが、何かあれば誰でもからかう輩だ。もう少し真面目ならばアミタのように多くの人間と交流を持てるだろうに。まあ表面上の付き合いだけの者を友と呼ぶタイプでもないので今のスタンスを変えるつもりはなかろう。
「ああ……シュテルとレヴィの特性を合わせたような奴だからな。まあ俺よりもフェイトのほうが苦労してたけど」
「ん? フェイトも一緒だったのか?」
「途中で会ってな。そしたらフローリアンが一緒にどうかって誘ったんだよ」
「そうか……」
あやつのことだから何かしら目的があったのだろうが……いや、変に疑うのはやめておこう。茶目っ気があるせいで誤解されることもある奴だが、根は良い奴なのだ。
キリエは昔から花を育てるのが趣味であったからな。それは今でも変わっておるまい。小悪魔的な言動を取っておるせいか、容姿を褒められても照れたりすることはないが、自分が育てた花を褒められると赤面する。そのような者が悪いはずないだろう。
「……音が鳴り止んだが食べ終わったのか?」
「ん、ああ……すまなかったな」
「気にするな。今後立場が逆になることもあるかもしれないんだから」
そう言ってショウは、空になった食器を受け取りながら代わりに水と薬を差し出してくる。我は受け取ると一度水を口に含み、薬を入れて一気に飲み込んだ。それを見たショウは、一度優しく微笑むと立ち上がる。
「じゃあ俺は約束通り出てくから。ちゃんと休めよ」
「言われずとも分かっておる。子ども扱いするでない」
まだ学校の課題も終わっていないものがある。それに家事は基本的に我の仕事ぞ。今日中に体調を戻さなければならないであろう。無理なぞするものか。
体調を悪化させでもすれば恥ずかしい姿をもっと見られることになるし、何より心配や迷惑を掛けてしまう。こやつは別に気にしないだろうが、我はどうしても気にしてしまうのだ。何としても今日中に治さなければ。
「何言ってるんだ。俺達はまだ子供だろ?」
「人の言うことを聞けないほど子供ではなかろ
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