空白期 中学編 14 「風邪を引いた王さま」
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ら」
「ば、馬鹿者! そのような歯の浮くことを申すな!」
外見のことなら気にするな、という意味で言っておるのは分かるが、ここは普通に気にするなだけでよい。
小鴉やらに女心がどうのと言われて今のような言い回しにしているのかもしれんが、貴様は自分で思っている以上に良い男なのだぞ。我は誤解せぬからともかく、誰にでもそのようなことを言うのは乙女の純情を守るためにも許さんからな。
それ以上に今の言葉で嬉しさを覚えた自分のほうが許せんが……こんなだから周囲に色々とからかわれるのだ。ディアーチェ・K・クローディアよ、貴様は安い女ではないはず。
「病人のくせにあまり大声出すなよ。まあ少しは元気になったようで安心したが」
「我とて出したくて出したのではない。元はといえば貴様が……まあよい。用件を済ませてさっさと出て行け。貴様にうつっては大変だ」
「ならまずはこれを食ってくれ」
ショウが差し出してきたおぼんの上には出来たてと思われるお粥が乗せられていた。体調が良くなって空腹を覚え始めていただけに思わず唾液が溢れてくる。
「これを食べて薬を飲むのを見たらすぐに出てくよ」
「子供ではないのだから見ていなくてもちゃんと食べて飲むわ」
「ダメだ。俺が安心できない」
貴様は我のことを信頼しておらぬのか。
とも言いそうになったが、立場が逆だったならば我もきっと似たようなことを口にしていただろう。それだけにぐっと?み込むほかになかった。
「ならば食べ終わるまで後ろを向いておれ。今の姿をあまり見られたくはない」
「お前が思ってるよりひどくないんだがな」
「ひどさの問題ではない。我の心の問題だ。いいからさっさと後ろを向かぬか!」
ショウは「やれやれ」と言いたげな顔を浮かべながら我におぼんを渡すと、ベッドを背もたれにして後ろを向いた。
椅子があるのだからそちらに座ればいいだろう、と思ったが、普段よりも弱っているせいで近くに居てくれることに安心感を覚える。そんな自分に思うところもあったが、我も人間なのだからそういうときもあると割り切ることにした。
「……美味いな」
「そうか……よかったよ。最近はあまり料理してなかったし、お粥ってあまり作ったことがなかったから」
「そうなのか?」
「まあな。義母さんは仕事に没頭するあまり貧血や栄養失調とかで倒れることはあったけど、風邪とかには不思議と掛からない人だったからな」
言われてみると確かに不思議だ。あの人の仕事量ならば体調を崩し色々な病気に掛かりそうだが……。またショウの義母になってからは倒れたという話も聞かなくなった。目元の隈と気だるそうな顔は相変わらずだが。
「はやてとかも滅多に体調を崩したりしない奴だし、今ではシャマルとかもいるからな。俺の出番はもう
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