空白期 中学編 14 「風邪を引いた王さま」
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あやつを最も理解できるのは同じような心の傷を持つ小鴉だ。誰よりもあやつと深いところで繋がっておるだろう。
だが……あやつらの関係は我が知った頃から何も変わっておらぬ。
別におかしいことではないが、最近思うようになったことがある。ショウも小鴉も大切な人間を失っている。そのため互いのことを理解できる。付き合いの長さからして、間違いなく大切な存在だと思っているだろう。
だが……あやつらは今以上の存在を作ることを恐れているのではないだろうか。
魔法に関わる以上、この世界の者と比べれば命を落とす可能性は格段に高い。誰よりも大切な存在を失うようなことになれば、心が壊れてしまうことは容易に想像できる。表面上には見えなくても、深い部分で恐怖していることはありえない話ではないはずだ。
「…………何を考えておるのだ我は」
親しい人間には幸せになってもらいたいが、だからといって病床のときに考えることもあるまい。どうにも遊園地に行った日から我はどこかおかしい。
なぜこうも……あやつのことを考えてしまうのだろうか。
あやつは我にとって同じ苦労を知る仲間であり、親しい友人のひとりだ。それ以上でもそれ以下でもない……ないはずだ。そうでなければ、同じ屋根の下で暮らすことなど不可能だろう。
もしや……あやつと何かあって気まずい空気にならないように気を張りすぎていたのだろうか。だがあやつは自分から不埒な真似をするような人間ではないし、この家には昔から度々泊まっていた。緊張しすぎていたということは考えにくい。
「えぇい……考えがまとまらぬ」
朝よりも熱が下がったおかげで頭痛や喉の痛みは大してないが、熱があるせいか思考が鈍い。今の状態で考えるな、と言われればそのとおりではあるのだが……体調が良くなったせいかじっとしていたくない。我は居候の身なのだから。
やれる範囲のことをやってしまおうか、と思った矢先、扉を叩く音が聞こえた。次の瞬間、おぼんを持ったショウが中に入ってくる。上体を起こしていた我と目が合った瞬間、若干彼の目が開いたがすぐに元に戻った。
「起きてて大丈夫なのか?」
「熱も大分下がっておるし、そもそもただの風邪だ。問題ない」
「そうか。まあでも今日1日は家のことは気にしないで寝てろよ」
まるで我の考えを見透かしているかのような物言いだ。我はそれほど分かりやすい性格をしているのだろうか。それとも顔に出やすいのか……などと考えておる場合ではない。
「あ、あまり近づくでない」
「……?」
首を傾げるな馬鹿者。我とて年頃の娘ぞ。汗を掻いておるときに異性に近づかれたくはないわ。おそらく寝癖も付いておるだろうから、見られているだけでも恥ずかしいというのに。
「あぁ……安心しろよ、お前はいつだって綺麗だか
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