無いもの/有るもの
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菊岡との対談を終えた雪羅はダイシーカフェのドアの目の前に来ていた。
既に雫からみんな来ているとのメールが届いていたので恐らく自分が最後だろうと思いながら扉を開けた。
「いらっしゃい」
渋い聞き慣れたマスターの声に俺はいつも通り返す。
「うっす、エギル。悪いな、店を使わせちまって」
「いいってことよ。それより、アイツらが待ってるぜ?」
エギルがクイッと親指で指した先には雫を含め詩乃やキリトもいた。
「よう、待たせたな」
「遅いわよシオン!」
リズベットこと篠崎里香はカウンターで雪羅に向かって不満げにそう言った。
「無茶言うんじゃねーよ。俺、車椅子なんだけど?」
「そうだよリズ。シオンは向こうじゃあんなだけど、リアルでは車椅子なんだから」
「アスナ、お前俺のことバカにしてるのか?あんなとはなんだ、あんなとは」
茶色がかったロングの髪を背中まで伸ばした容姿端麗な少女、結城明日奈は苦笑しながら言った。
「まぁ、確かに向こうのシオンは今じゃ想像できないほどの暴れっぷりだからね・・・」
雫もアスナの言葉に賛同する。
雪羅は今にも泣きたい気分だが、その気持ちを心の中にしまっておく。
「シノン、この今まさに心に傷を負った白髪の車椅子がシオンこと高嶺雪羅だ」
「知ってる、名前ははじめて聞いたけど」
キリトが雪羅を紹介すると詩乃は彼を見ながらそう言った。
「その、この前はありがとう・・・」
詩乃は雪羅に方に体を向けると頭を下げた。
彼は彼女に頭を上げさせてこう言った。
「シノン、聞いたとは思うがシュピーゲル、新川恭二は今医療少年院に収容されている。面会ができるのは鑑別所に移されてからだが・・・お前は来るか?」
雪羅の問いに対して詩乃は少し考え込んでから首を縦に振った。
「行くわ。会って、私が今まで何を考えてきたのか、そして今、何を考えているのか、話したいから・・・」
「そう言うと思ってた、後で菊岡に連絡入れとくからその時になったらまた連絡する」
「うん、ありがと・・・」
詩乃は再び頭を下げると雪羅は深い溜め息をついて頭をめんどくさそうにガリガリと掻いた。
「シノン、そう何回もありがとうなんて言われると調子が狂うからやめてくれ」
「えっ・・・」
「さしずめ、助けてもらったことに感謝の意を伝えたいところだが、俺はそういうのは求めていない」
「・・・・・」
「だが誤解するな。お前がそんな風にされると、こっちも気を使っちまうからな。お前はこれから“感謝する側”じゃなくて“感謝される側”になるんだから」
「感謝、される側・・・?」
そう言って雪羅はキリトに
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