SAO─浮遊城と赤衣の聖騎士
01 剣士誕生
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なかった。突如として何らかの不具合が俺の身体に起きたのかと、何度も何度も考えた。
ユージオは、以前彼をいじめていた青年たちに、殺された。俺の目の前でだ。
彼らはユージオを、そして彼と親交の深い俺を馬鹿にしたという。最初は無反応を貫いていたユージオも、俺やヤマトが馬鹿にされ始めると、言いかえし出したらしい。それに激高した青年たちがユージオに殴り掛かり、そしてユージオも彼らに反撃した。まだ十分に発達していないながらも、しかし間違いなく《人外》の技である、《夜ノ明ケ》の技で。
化け物。誰かが、そう言ったらしい。
それからは、もう容赦がなかった。ユージオを人間と見なくなった彼らは、まるで獣をなぶるかのようにユージオを暴行し――――俺がなかなか待ち合わせ場所にやってこない彼を探しに行ったときは、もうすでに虫の息だった。
あの光景を。あの感触を。今でも俺は、はっきりと覚えている。
人外の技で、青年たちを殺した。初めての殺人だった。十数名ばかりの彼らの血液が俺に降りかかり、何かが俺に刻み込まれたような感覚がした。
彼ら全員が死んだとき、既にユージオは助からない域になってしまっていた。泣きながら彼を抱き起こした俺に、ユージオは微笑んでこう言った。
「……ステイ・クール、和人」
『落ち着いて』……彼がよく、俺に口にしていた言葉。そこには、「さようなら」の意味も含まれている。
「馬鹿……ッ、助ける。今助けるからな……っ!」
「……いいんだ。僕は。大切な物を――――護れた、から。
ねぇ、和人。僕は……強く、なれた、かな」
――――ああ。
その時、俺は悟ってしまったのだ。
ユージオが死ぬのは、俺のせいだと。ユージオに、「どうして強いのか」と問われて、「信じるものを守りたいから」と答えた、俺のせいだと。
彼は信じた物を……俺達の、《夜ノ明ケ》の誇りを護る為に戦って、死ぬのだ。
「……ああ。強く、なったよ」
震える声で、そう答える。
「よかった……」
そう呟くように漏らして、彼は息を引き取った。俺の目の前で、大切な人が、死んだ。
守れなかった。
ところで、一つ奇妙なことがある。
俺は、この際に《夜ノ明ケ》の技で殺人を犯したことが処罰されるのかと思っていたのだが、実際の所、ヤマトに初めて殴られた…凄まじく痛かった…以外に一切の御咎めが無かったのだ。
そう、流派にも、国家的にも。人間に対する傷害を犯した場合に行われる筈のライセンスはく奪も通達されなかった。
それどころか、後日《夜ノ明ケ》から、俺に《英雄》なる《称号》を授ける旨と、《刻印》、《菩提樹》の存在が通
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