SAO─浮遊城と赤衣の聖騎士
01 剣士誕生
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ジオ』と呼びあう程度には。
実際のところ、ユージオは俺にとって始めての『親友』であった。九十九家にいた頃の友人達とは、当時から少し距離を取っていたし、
ある日の訓練の折の事。何時ものように俺がユージオを打ち負かした時のことだった。
「いてて……うーん、やっぱり和人は強いなぁ……なぁ、どうやったらそんなに強くなれるんだい?」
唐突にユージオがそう問うてきた。
一瞬答えに詰まった。俺の力の大半は、『異常者』の理を受け入れたことによる、いわば不正だ。純粋なポテンシャルならば明らかにユージオの方が上であり、このままいけば間違いなく、彼は俺を超える。
けど、その時、俺はこう答えた。答えてしまったのだ。
「……自分の信じるモノを、守りたいと思ってるから、だな」
──それが後に、どのような悲劇を生むことになるのかなどは、想像すらせずに。
数年後。2022年。俺とユージオが14歳の時のことだった。世界初のVRMMORPG、《ソードアート・オンライン》が発表される。
何でも、《ナーヴギア》という仮想空間を再現する機械をゲームハードにした、初のMMORPG何だそうだ。世紀の天才、茅場晶彦が創り出した、完全なる仮想世界。残念ながら俺は人並み程度にしかゲームに詳しくなかったので、その点は俺よりも、まともな一般人であるユージオの方が詳しかった。
彼は1000人しか選ばれないβテスターにも選ばれ、大興奮であった。毎日の様に俺にソードアート・オンライン……通称SAOについて語っていたほどだ。
いわゆる《職業》システムは存在せず、無数の『スキル』と呼ばれる技術をスキルスロットに投入して、自分だけのステータスを創り出す。
ファンタジー系RPGながら、プレイヤーは《魔法》のスキルが使えない。代わりに、無数の《ソードスキル》と呼ばれる必殺技が用意されており、プレイヤーはそれを駆使してモンスター達を倒していく。
舞台は百層構成の巨大な浮遊城、《アインクラッド》。城、と言っても俺達が普段イメージするそれとは大きくかけ離れている。内部に広大なフィールドが広がり、都市や森、湖、山、挙句の果てには海まで存在すると言うではないか。
ゲームの初回生産はわずか一万本。βテスターはその優先購入権が与えられるのだとか何だとか。
毎日キラキラした目で俺にそんなことをまくし立てるユージオは、実にほほえましかった。
いつか一緒に遊ぼうと、はにかんだ彼を覚えている。俺はそれに、笑って答えたはずだ。
だが、世界は酷く残酷だ。
その悲劇が起こったのは、βテスト開始直前。七月の終わりのことだった。
――――ユージオが、死んだ。
俺は自分が信じられ
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