SAO─浮遊城と赤衣の聖騎士
01 剣士誕生
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て、向こうで活動をすることになったらしい。異形の発生は海外──特に、何を狙ったのかイギリスや新大陸がひどい。日本はまだ安全な方なのだ。
俺はまだ修行の途中であった故、彼らと離れなければならなかった。泣き叫んで父さんと母さんを止めようとしたが、結局の所、俺は伯母夫婦に引き取られる、という形で、彼らと別れることになってしまった。もちろん、友人たちとも、《彼女》とも。
「強くなれ、和人」
別れ際に、父さんはそう言った。
こうして、"九十九和人"は、"桐ケ谷和人"になった。
伯母夫婦の元には、今までよりも二十倍近く平和な日常が待っていた。この世界の常識。外側で起こっている『異常』など、何も知らない無垢な人々。
伯母の桐ヶ谷翠さんは三十代半ばとは思えないほどエネルギッシュな人で、その夫、桐ヶ谷峰高氏は凄腕のサイバー関係の営業マンだった。彼らは『異常者』の一端である俺のことを、他人と変わること無く愛して育ててくれた。と言うより、俺の異常を知らなかった節がある。ヤマトのことは、剣道の師匠だ、とだけ教えていたから。当時すでに亡くなっていた俺の母方の祖父が凄腕の剣道家だったこともあって、慣れていたのかもしれない。
だが、俺の異常に誰もが気付かなかったのか、と言えば、答えは否である。俺が常人を超越していることを鋭敏に嗅ぎ付けた人物がいた。
義妹の、桐ヶ谷直葉である。なるほど、確かにこの少女とはいとこ同士であり、彼女は俺の義妹なのである、と思える程度には俺と顔立ちの似通った剣道少女で、勘がよかった。俺の纏っている雰囲気がオカシイことに気付いていたのだろう。俺を良く避けていた。
もっとも、彼女の反応は珍しい事でも何でもない。昔は皆こんな反応を返した。《彼女》を除けばだったが。
とにかく、俺としても別に無理やり直葉と仲良くならなければならない理由もなかったため、無関心を貫いていた。
さて、このころ、俺の元に一人の少年がよくやってくるようになる。友人や兄弟からいじめを受けていた所を、偶然俺が助けたのがきっかけだった。
名前を、折草優慈男という。亜麻色の髪に緑色の瞳と言う、日本人にしては実に珍しい容姿の、このおとなしい少年は、その一件を境に俺の元に足しげく通って、剣術の手ほどきを受けるようになったのだ。何故ヤマトではなく『俺の』だったのかは不明だったが。
正直な話、彼の才能は目を見張るものがあった。俺が教えた事を、一つ残らず吸収し、期待値を遥かに上回る出来栄えで実践して見せるのだ。
それでも俺には敵うわけもなく、まだまだ一般人の域を出てはいなかったのだが。
俺たちは同い年と言うこともあって仲が良かった。最低でも、『和人』『ユー
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