SAO─浮遊城と赤衣の聖騎士
序幕
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って居る。
「如何した《剣神》! 貴方もその剣を抜くが良い! そうして見せてくれ! ”私”に、貴方の暴威を! その腕で打ち斃される感動を、与えてはくれまいかッ!」
其れは四色目である。一色目が青。弐色目が赤。参色目が黒とするならば、四色目とは、表すならばそれ即ち《白》であった。
「……」
白銀の髪を靡かせ、玲瓏と其処に佇む最後の一人。小柄で在れど、その内包する気配は随一。不動で在ったその彼が、青色の狂気に答えてついに己が『武器』を取る。
『其れ』は、常人の思考に照らし合わせるので在れば『素手』で在った。無手。白色は、其の腕をこそ武器とする。掌をこそ刃とする。此処に居る誰よりも靜かに、冷徹に、其の刀身を今抜き放つ。
光すら凌駕する神速で。此の電子の世界の限界で、剣の神が舞い踊る。音も、予備動作も、瞬きの間の許容すらも無く、即座に青色の前に純白の四色目が飛来する。
剛と音を立てて振り抜かれる剣。頸を狙った一撃は、しかし青色に避けられる。だが青色も、白色も其処までは想定済み。当たり前だ。白色の『武器』――――其の刃とは、掌だけでは無い事を知って居るから。
白色の脚が輝く。繰り出された蹴りは殴殺の凶器。歓喜に咽ぶ青色は、しかし己が肉体で受ける事は無い。当たれば即死。それは”この場”の常識である。迫りくる蹴撃を、刃で迎え撃つ。
かと言って、其れにて白色の脚が切り裂かれるかと言われれば、其の様な事が起こり得る訳が無い。其れはこの戦に参加した四色、全てが知り得ている事実。
砕かれたのは青色の『武器』。刀の刃は粉々に打ち砕かれ、此の世界から未来永劫に其の銘を喪った。
「ククク……やはり破壊するか……ッ! 貴方の力なら、容易だと信じていた……ッ」
本番は此処からだ、と言わんばかりに、青色が其の得物を構え直す。両手で、柄を握って。漸く、其れを『武器』では無く『刀』として。
同時期に、黒と赤の弐色の世界も終わりを告げる。黒の剣と、赤の盾が、お互いの攻撃を最後に弾き合うのと、粗全く同一の時に。
「アオ様……アオ様……っ!」
青色の髪の従者が、剣鬼の無事を天に祈り。
「茅場君……」
鈍色の髪の女性が、聖騎士の勝利を信じ。
「パパっ! パパぁ……っ!」
黒の髪の娘が、父たる黒い剣帝の身を案じ。
「ロトっ、ロトっ……やめてぇぇぇぇッ!!」
金色の髪の姫君が、白い剣神を戒めようとしたのと、粗全く同一の時に。
――――四色が此処に、混じり合う。
「夜の明け……――――ッ! 星斬り流剣術――――異の型・五番ッ!!」
「《神聖剣》、最上位ソードスキル……!」
「贖う命は誰が為に……贖う
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