SAO─浮遊城と赤衣の聖騎士
序幕
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を其の身に受けることを、黒が許容する事は無い。黒もまた、一対の剣を交差させ、迸る閃光で大盾を受ける。
あらゆる世界――其れは此の仮想世界も含まれ得る――の常識に照らせば、此れは異質でしか無い情景だ。本来ならば護る為に在る筈の盾が敵を穿ち、穿つ為に在る筈の剣が主を護る。
だが此処に在って。此の場で在るからこそ、其れは常識となり得る。剣が盾を穿ち、盾が剣を穿つ。両者が共に『武器』で在るのであるからして、其れが護りの為の物なのか穿つ為の物なのかなど、一切合切関係無い。
在るのは唯、此の武器で、此の命で、対峙する彼の者を打ち破り、打倒せしめるので在るという意思のみ。そうして決めるのだ。どの色が最強で、どの色が勝者に相応しいのかを。
此処に在るのは修羅。己が求める極限だけを追って来た存在。
「ククク……はははははッ! そうで無くては……そうで無くてはならぬよなぁ!」
黒と赤の弐色の世界に、再び青という参色目が突撃する。青の構えた刀は黒と赤を弾き飛ばし、破壊せんと荒れ狂う。
此処に在りは勝者なり。勝者とは我なり――――そう言わんがばかりに。此の腕として振るいし一対の刃こそ、貴様たちを打ち斃し勝者である事を証明する『武器』である、と。
声に出さずとも華々しく宣言し、青色の剣鬼が駆け抜ける。
――――黒き剣帝、恐るるに足らず! 赤き聖騎士、恐るるに足らず! 汝ら、我が身を打ち倒したくば、"私"を殺して見せてくれ――――!!
まるで、そう叫ぶかの如く、青色はその武器の刀身を、鋏の様に交差させた。
二刀が鮮血が如き光を纏う。其れは必殺の意味を内包する輝き。一撃一撃が、天下無双の怪物たちを屠る、人外の為の剣術。
「夜の明け――――星斬り流剣術ッ! 異の型・四ッ番ッ!!
《天舞散血翡翠業》ォォォォゥゥッ!!」
青色の握る二本の武器、交差されていたその刃が、眼にもとまらぬ速さでそれぞれ外側へと振り抜かれる。
発生する衝撃波。疾風が、断頭の鎌と化して荒れ狂う。黒と赤を切り刻み、世界を青だけに染め上げる為。血色の旋風が蹂躙する。
だが黒も赤もそれを唯許容し、自らが打倒される未来を迎える事は断じて否とする。黒は尋常ならざる速度で其の場を離れ、赤は大盾を構えて受け流す。必殺を以て放たれた暴威は、しかし黒も赤も殺す事無く消滅した。
だがしかし。否、だからこそ、青色は更なる歓喜と興奮に其の身を震わせ、そして嗤うのだ。
嗚呼、何と――――
「素晴らしいッ!」
是以上の物など、望むべくも在るまい。
だが。
だが、だが、だが。
此の戦乱に、今だ介入せざる存在がもう一つ在ることを、青色は知
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