SAO─浮遊城と赤衣の聖騎士
序幕
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の厳顔 と間反対に等しいが、しかし内包する感情は恐らく全く同一の物で在ろう。
「く、ククク……ふはははははッ!! 素晴らしい。素晴らしいぞ! さぁ、もっと”私”を楽しませてくれッ!!」
今此処で巡り合った、此の強者との戦い。其れに対する、歓喜でしか無い。
青き影が高らかに嗤い上げたのは、赤き聖騎士との出会い、そして此の剣戟を歓迎し、何時までも継続させようと言う意思。
だが忘れてはならない。
此の場には、其れを許容しない者が、他にも存在して居る事を。
「おぉおおおおおッ!!」
静かに、しかし猛々しく。裂帛の気合いと共に、黒い鬼が弐色だけの世界に墨を垂らす。其の手に握り緊めた、やはり一対の得物を以て、青と赤の一騎打ちに割って入った。
両手に握った長剣が、赤騎士の盾を弾き、青色へと躍りかかる。
「やはり来るか、キリト兄……ッ!! そうだろう、貴方が居ないのであればこの戦、何一つたりとも至高とはなるまいッ!!」
「黙れアオ! この戦いは、お前の欲望を満たすための物じゃないんだぞ!!」
「何を仰るか!! 他ならぬ貴方が! 望んだのでは無いか、この戦を!」
「それは『救うため』だ! 『殺すため』じゃない!!」
「大いに否! これは”私”の……『殺されるため』の戦いだ!!」
「ほざけッ!! 命は玩具じゃないんだぞ!」
黒と青の剣風が、捲き起こっては相手を切り刻んで消えて逝く。黒の剣が青の刀を薙いだのならば、青の刀が、此度は黒の剣を薙ぎ払う。どちらの剣技も極限。獲物は『武器』。条件が全く同じ二者の戦は、決裂する事も、それでいて混じる事も無く並行する。
黒の放つ一撃が、青の頬を浅く薙ぐ。しかしその身に、傷を与えるには到らない。対する青もまた、その刃を人知を超えた揚力で以て、縦横無尽に振るい続ける。斬撃の監獄で黒色を捉え、切り刻むために。だが、黒もその斬撃を甘んじて受け入れる訳が無い。恐るべき反応速度で斬撃監獄を回避し、距離を取る。
再び弐色に染まりかけた戦には、しかし赤も消える事無く介入した。青と黒の間に割って入ると、黒が振りかぶったその刃を、構える巨大な盾で受け切る。此の世の物に非ざる音を立てて、剣と盾が、弾く、弾く、弾かれ合う。
全ての攻撃が、決まれば相手を破壊する。そんな極限の一撃が、その役割を果たさんと荒れ狂った。
涼やかに、そして厳かに。赤が黒に告げる。お前と戦うのは此の我だと。
「忘れてもらっては困るかな、キリト君」
「黙れ。今俺はアオと話している」
「だが私と戦うのは君だ、《黒の剣帝》。《青の剣鬼》では断じてない!」
赤の構えた大盾が、純白の極光を放ちながら黒へと迫る。しかし其れ
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