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心霊写真
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第一章

                         心霊写真
「そんなの嘘に決まってるだろ」
「嘘って?」
「嘘っていうのかよ」
「ああ、そうだよ」
 江頭玲は友人達に言い切った。
「幽霊なんているかよ」
「だからかよ。この写真もか」
「嘘だっていうんだな」
「インチキに決まってるだろ」
 玲はこうも言った。
「そんなのな」
「けれどな。実際にな」
「こうして映ってるだろ?」
「見ろよこの写真」
 それは神社の写真だった。神社の中の林を映したものだ。
 その木と木の間にだ。それが映っていたのだ。
 人の顔に見える。赤っぽくなっていて小さく木と木の間にあるだけだ。
 それを指差してだ。彼等は玲に言うのである。
「ほら、これだよ」
「どう見たって幽霊だろ」
「なあ。この神社出るっていうしな」
「それだろ」
「こんなのピンボケだろ」
 しかしだ。玲はまだ言うのだった。
「よくある話だろ。確かに俺もな」
「俺も?」
「何だっていうんだよ」
「宇宙人はいると思うさ」
 それはいるというのだ。
「それにネッシーとかもな」
「けれど幽霊はか」
「信じないのかよ」
「ああ、それは嘘だろ」
 彼はあくまでこう主張する。
「他の写真だってな」
「これとかか?」
「これもか」
「ああ、そうだよ」
 そうした写真が幾つも出て来た。どれも何か怪しい光があったりある筈のない場所に手が映っていたり白い顔が写真の片隅にあったりする。
 そうした写真もだ。彼は全て否定するのだった。
「全部そうだよ。悪戯とかピンボケだよ」
「じゃあ心霊写真はどれもか」
「インチキだっていうんだな」
「そうさ。嘘さ」
 玲は笑って、嘲笑する様にして言い切った。
「絶対にな。若しもな」
「若しも?」
「若しもっていうと」
「俺がその心霊写真を自分で撮ったらな」
 その場合はだ。どうかというのだ。
「その時は信じてやるさ」
「そうか。その時はか」
「御前も信じるっていうんだな」
「それでその霊も見たらな」
 同時にそうしたこともあればだというのだ。
「信じてやるさ」
「じゃあ撮影に行くか?」
「その心霊写真の撮影に」
「そうだな。ちょっと心霊スポットに行って来るな」
 彼は気軽にこう友人達に話し。そうしてだった。
 カメラを手にだ。弟の晃を連れてだ。その幽霊が出るという神社に来た。
 玲はまだ中学生の晃にだ。こう問うた。
「怖いか?」
「ああ、幽霊のこと?」
「そうだよ。ここは出るらしいからな」
「ああ、それ大丈夫だから」
 しかしだ。晃は兄に平気な顔でこう言ってきた。
 そのうえでだ。胸や懐からだ。色々と出して来た。それは。
 御守りにお経に聖書に十字架にだ。桃の
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