第四十三話 街道での死闘その二
[8]前話 [2]次話
「その固さは知っているな」
「そうだよな、鎧みたいだってな」
「その鎧と体格にはだ」
今の様な一撃はというのだ。
「貴様にとっては残念だがな」
「通じないっていうんだな」
「見ての通りな」
「そういうことなんだな」
「そうだ、そしてだ」
今度は怪人の方からだった、薊の一撃を防いだうえで。
さらに接近してきてだ、右から。
タックルを仕掛ける、しかも一度や二度ではなく。
何度も浴びせる、そうしながら言うのだった。
「どうだ」
「効くねえ」
これが薊の返事だった、実際にバイクは相当にさながら荒波の中の小舟の様に揺れて倒れそうになっている。
「このままだとね」
「若し転倒すればだ」
「ああ、このスピードだからな」
薊もどうなるかはよくわっていた。
「唯じゃ済まないな」
「死ぬぞ」
まさにそうなるというのだ。
「貴様も。そしてな」
「あんたもか」
「そうだ、俺とてだ」
その強固な鎧をまもっていてもというのだ。
「致命傷は避けられない」
「何しろ全速力で走ってるからな」
「生きるか死ぬかだ」
こうも言う怪人だった。
「スピードの中でのな」
「面白い戦いだね」
「そして死ぬのは貴様だ」
タックルを再び浴びせての言葉だ、薊も実際に身体が揺れる。
「生憎だがな」
「おいおい、それは違うだろ」
「俺だというのか」
「最初から言ってるだろ」
そのタックルを仕掛けてきている相手への言葉だ。
「それは」
「その割りには揺れているな」
「まあな、けれどな」
「それでもというのか」
「そうさ、これ位じゃな」
それこそというのだ。
「あたしは転倒しないさ」
「強気だな」
「強気なのは確かだけれどな」
「事実を言っていると言うのだな」
「そうさ、これ位じゃこけないんだよ」
こう言ってだ、実際に。
怪人のタックルを何度受けて揺れて弾かれてもだった、薊は転倒しなかった。そして桜もそれは同じだった。
針鼠の怪人はタックルはしない、だが。
その手に中国の武器である狼牙棍の様な刺が無数にある柄のところが太く短い棒を出してだ、それを右手に持ち。
桜に攻撃を仕掛けていた、桜はレイピアでその攻撃を防いでいた、だが。
レイピアは細く棒は太い、怪人はそのことから言った。
「何時までもつのかね」
「私のレイピアが敗れるというのですね」
「俺の棒を見ろよ」
その狼牙棍の様なそれをというのだ。
「太くて針が多いだろ」
「しかも重いですね」
「それに対して御前の剣はな」
そのレイピアはというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ