暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生と二本尻尾の猫
第二幕その六
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「うっかりっていうか」
「おやおや、そうかしら」
「そうだよ、というか君の正体はわかったけれど」
「ばれちゃったわね」
「ばれても何もしないよね」
「殺すとか?」
「口封じでね、そんなことするのかな」
 老馬は猫又をじっと見てこのことを尋ねました。
「若しそうだとね」
「許さないっていうのね」
「僕はともかく先生にそんなことはさせないよ」 
 老婆は猫又に強く言うのでした。
「絶対に」
「そういえば貴方先生のお友達だったわね」
「とても長いね」
「だからこそなのね」
「僕だけじゃないよ」
 それこそというのです。
「皆がそんなこと許さないから」
「そうよね、やっぱり」
「正体の口封じとかで」
「そういえば日本の化け猫も」
 ここで先生も言いました。
「正体がばれたらその相手を」
「殺すよね」
「こうしたお話は世界中にあるけれどね」
「日本の化け猫もなんだね」
「うん、だとしたら」
「そんな物騒なことはしないわよ」
 猫又は笑ってそれは否定しました。
「秘密を守ってくれる相手には何もしないし。喋りそうなら」
「そうした人にはどうするのかな」
「私達の記憶を消すから、妖力を使って」
 そうしてとです、馬にお話するのでした。
「だからね」
「正体を知ってもなんだ」
「殺したりしないわよ」
 そのことは保証するのでした。
「悪い奴は懲らしめるけれどね」
「だといいけれどね」
「だって私達も人間と一緒に暮らしてるのよ」
 人間に化けてです。
「それだったらね」
「人間が嫌いじゃなくて」
「そう、私なんてここの四代前のご主人のところに里親に出されてなのよ」
 そうしてというのです。
「前の前の戦争の時にね」
「第一次世界大戦の頃かな」
「そう、あの頃に来て」
「それからなんだ」
「ずっとここでお世話になってるのよ」
「それで生きているうちにだね」
「気付いたら長生きしていたのよ」 
 この辺りは結構適当な感じだとです、先生と老馬は思いました。
「いや、それで妖力が備わっていてね」
「尻尾も二本になって」
「猫又になっていたのよ」
 そうなっていたというのです。
「いやあ、猫生もわからないわね」
「そういう問題かな」
 老婆は猫又の楽しそうにお話する様子を見て述べました。
「随分適当だね」
「そうかしら」
「僕が聞く限りね」
「それでご家族は皆私のこと知ってるのよ」
「君が猫又だって」
「ええ、それで代々大事にしてもらってるわ」
「それは何よりだね」
 老馬もそれはいいことだと返します、ですが。
 猫又にです、こうも尋ねました。
「それでだけれど」
「何かしら」
「君の名前は何ていうのかな」
「私の名前ね」
「うん、あるよね」
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ