暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生と二本尻尾の猫
第二幕その三
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「あれはね」
「姿形のことじゃないんだね」
「心だよ、心が化けものになると」
「僕達も人間もだね」
「そう、化けものになってしまうんだ」
「心なんだね」
「心が僕達と化けものの違いだよ」
 それこそ決定的な、というのです。
「心が魔物になってしまっては駄目なんだ」
「それで人間でも動物でもなくなるから」
「残念だけれど」
 ここで先生は哀しいお顔になるのでした。
「そうした人もいるんだ」
「そして動物も」
「その心が魔物になった人が」
「化けものにね」
「人を化けものと罵る人こそが」
「化けものになっていることも」
「あるんだよ」
 やっぱり哀しいお顔で言う先生でした。
「差別や偏見、憎悪によってね」
「化けものになるんだね」
「欲があまり深かったりするとね」
「というかね」
「というか?」
「先生はそうしたものがないから」
 偏見やそうしたものはというのです。
「欲も深くないから」
「そうかな」
「うん、化けものにはならないね」
「なりたくないね」
 それこそというのです。
「そうした存在には」
「そうだよね、心がそうなったら」
「どうしようもないから」
「うん、人間でなくなりたくないよ」
 先生は自分自身にも言い聞かせるのでした。
「僕は皆と一緒にいたいからね」
「化けものになったら駄目だよね」
「そうしたら君達と一緒にいられないよ」
「あれっ、そうなるの?」
「少なくとも人間としてはね」
 その心がそうでなくなればというのです。
「そうなるよ。例えば今まで慕っていた肉親を化けものと罵る人はどう思うかな」
「よくないと思うよ」
 老馬は先生にすぐに答えました、お酒屋さんに向かう道中で。
「それは間違ってるよ」
「そうしたことはよくないね」
「うん、絶対にね」
「僕はそうしたことはしたくないよ」
「サラさんに?」
「皆にだよ、例え君達がどうなってもね」
「僕が馬からライオンになっても」
 老馬はこう例えを出しました。
「そうなってもかな」
「うん、外見だけだよね」
「あと食べるものはお肉になるけれど」
「君は君だよ」
 その心はというのです。
「僕の友達のね」
「老馬だね」
「そうだよ」
 まさに彼に他ならないというのです。
「それでどうして手の平を返すのかな」
「先生は心を見ているんだね」
 ここでしみじみとして言った老馬でした。
「それが出来るって凄いよ」
「凄いかな」
「うん、凄いよ」
 心から先生に言った言葉です。
「そこがね、普通の人には中々出来ないから」
「そうは思わないけれど」
「そこをそう思えることが凄いんだよ」
「僕が?」
「うん、凄いよ」
「僕は自分が凄いとは思わないけれどね」
「自分で
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ