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ドリトル先生と二本尻尾の猫
第二幕その一
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                 第二幕  お酒屋さんのお姉さん
 先生はトミーに紹介してもらったお酒屋さんにです、老馬と一緒に向かいました。お仕事が終わってから老馬に乗ってです。
 大学からとことこと向かいます、その時に。
 老馬がです、先生にこんなことを言いました。
「ねえ、昨日のお話だけれど」
「結婚のことは勘弁してくれよ」
「それはまた言うけれど」
「今は違うんだ」
「うん、先生猫のお話をしてたじゃない」
 ここで老馬が言うのはこのことについてでした。
「化け猫とか猫又とか」
「ああ、あのことだね」
「今の日本の猫はね」
 丁渡町を馬に乗って行く先生の横のお家の壁のところに猫がいました。黒に近い灰色の虎毛のよく太った猫です。
 老馬はその猫を見てです、先生に言いました。
「あの猫にしても」
「尻尾が長くてだね」
「今は一本に見えるね」
「そうだね」
「ああ、ドリトル先生じゃないか」
 ここでその猫も壁の上から先生に言ってきました。
「こんにちは」
「あっ、僕のことを知ってるんだ」
「この町の猫や犬で先生のこと知らない人はいないよ」
「そうなんだ」
「そうだよ、先生は僕達の中で名士だよ」
「おや、僕が名士なんだ」
「僕達とお話が出来る数少ない人間だからね」
 それでというのです。
「僕も先生のことを知っているよ」
「そうだったんだね」
「うん、それとね」
「それと?」
「さっき僕の尻尾が一本って言ったけれど」 
 猫は先生にこのことを言ってきました、先程の老馬とのお話についてです。
「僕は普通の猫だから」
「尻尾は一本だね」
「猫又じゃないよ」
 そこは断るのでした。
「猫又はまた別だよ」
「そうなんだね」
「いることはいてもね」
 それでもだというのです。
「僕は違うから」
「まあ普通生きものに尻尾が二本あったら」
 老馬も言います。
「目立つしね」
「だからそこは化けてなんだ」
 それでとです、猫は老馬にも言葉を返します。
「猫又は隠しているんだけれどね」
「見破る方法はあるのかな」
「驚いたりして変身が解けたらね」
 そうした時はというのです。
「文字通り尻尾が出るよ」
「何かそこは狐や狸と一緒だね」
「変化だからね、猫又も」
「成程、そういうことなんだ」
「そうだよ、それと」
「それと?」
「僕達猫は結構すぐに驚くから」
 これは猫の特性です、猫は好奇心が旺盛でいつも面白そうなものを探しています。そしてそれを見てすぐにびっくりするのです。
「変身もね」
「解けやすいんだね」
「むしろ狐や狸よりもね」
「へえ、そうなんだ」
「流石に千年生きた九本尻尾にもなると違うけれどね」 
 そこまで至ると、というのです。
「普
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