6部分:第六章
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第六章
「神様がご褒美をくれるから」
「そうなの」
「そう。まあその幸せを待ってね」
「今はそうしていればいいのね」
「そう。ゆっくりとな」
そうしてだとだ。エリザに告げたのだった。そしてこうした話を妖精達にしてからだ。一月程してからだった。
エリザにだ。同僚のジョンがだった。
花束、アイルランドの国花のそれを出してきてだ。こう彼女に言うのだった。
「よかったらさ」
「これからね」
「うん、ずっと一緒にいたいけれど」
こうだ顔を赤らめさせて彼女に言ってきたのだ。
「駄目かな、それは」
「有り難う」
エリザはまずはだ。微笑んでこう彼に答えた。
そしてだ。そのうえでジョンにあらためて告げた。
「じゃあこれからもね」
「一緒にいてくれるね」
「アイルランド人はカトリックよ」
このことはまずは絶対だった。アイルランドとイングランドの対立は宗教的な理由もあったのだ。カトリックとイギリス国教会である。
それでだ。彼女はここでこう言ったのである。
「だから一度結ばれたらね」
「だからだよ」
彼もここで笑って言う。
「僕もカトリックだから」
「知ってるわ。そのことは」
「一緒にね」
「そうしましょう」
こうした話をしてだった。エリザはジョンの告白を受け入れてだ。アイルランドの国花を受け取ったのだった。
そのことを部屋で妖精達に話す。やはりビールを飲みながら。
「本当に幸せが来るなんてね」
「驚いてるんだ」
「そのことに」
「そうよ。まさかと思ったわ」
こう言う彼女だった。
「いや、それでもね」
「嬉しいだな」
「そうなんだね」
「ええ、とてもね」
嬉しくない筈がなかった。実際にだ。
「嬉しくない筈がないし」
「ほらな、言った通りだろ」
ここでまたケット=シーがエリザに話す。
「いいことがあっただろ」
「ええ、とてもね」
「おいら達はこうしたことがわかるんだよ」
「人ではわからないことがなのね」
「そう、わかるんだよ」
こう話すのである。
「おいら達にはな」
「そして私はその貴方達が見える」
青がかった灰色と紫の二色の目を頬笑まさせてだ。
そうしてだ。笑顔でこう言った。
「これも神のお導きかしら」
「人間の神様はおいら達の神様じゃないけれどな」
この辺りは色々複雑だった。妖精達はケルとの神々の成れの果てという説があるのだ。
それでそこは違うと言ってからだった。ケット=シーはエリザにあらためて話す。
「まあそれでもあんたがおいら達を見られるようになったのはな」
「あの事件を未然に防いで」
「そしてあんたが幸せになる為なんだろうな」
「そうなのね。それじゃあ」
エリザはケット=シーのその言葉を聞いてだった。
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