第一話
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「君は何故ここにいるの?」
青年は男に問った。その男とは、彼を助けた男である。
男の名はメフィストフェレス。確かにそう言った。
だが、青年は何故この男がここにいて自分を助けたかを理解出来ないでいたのだ。
暫く沈黙が続いたが、ふと男が口を開いた。
「赦しを得るため…かな。」
「赦し?誰の?」
「神…だと思う。」
その声は寂しげで、その奥にある哀しみさえ映し出しているかの様だったため、青年の心は痛く締め付けられた。
男の名が本当だとすれば、この男は悪魔である。しかし、メフィストの伝承にこんなものもある。
彼は罪ある者だけを地獄に堕とす。罪なき者は決して手をかけない。神の御側にあった時を思い出し、天へ還る日をひたすら夢見続けている…。
「僕はずっと傍にいるよ。」
青年はそう言った。すると、メフィストは顔を上げて返した。
「それは長い年月となる。私が滅び逝くまで…それでも良いのかい?」
「良いよ。」
青年は間を空けずして答えた。
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