第一話
II
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中へと飛び込んだのだった。
現時刻は夕方五時三十分。この込みようは異常と言えた。普段なら四、五席埋まっている位なのだが、どうやら何かの集まりのようだ。
「おい、このオーダー早くやってくれ!」
「分かってます!」
この人数相手に、三人でどうにかしようなど無茶なのだ。だからと言って来店拒否するわけにも行かない。まぁ、メフィスト一人が加わったとこであまり変わりはしないだろうが…。
「すいません!」
客の一人が呼ぶと、そこへ直ぐさま鈴野夜が駆け付ける。もう大分仕事に慣れた様で、次から次へとオーダーが入る。だが、それじゃ厨房が間に合わないのだ。
「仕方無い…。」
釘宮はそう言って厨房の電話を手にとった。小野田に連絡するのだ。
小野田とは直ぐに連絡が取れ、十分もせずして彼女は仕事に入った。丁度近くに来ていたらしい。
彼女は仕事に入って早々、忙しい大崎を捕まえて聞いた。
「ねぇ…何で鈴野夜さんが?」
「あぁ…暇なんじゃね?」
「……。」
小野田はその答えに些かの殺意を覚えたが、店の混みように対処することが優先され、彼女は鈴野夜と交代でホールへと出た。無論、鈴野夜は厨房の手伝いだ。
そう時も経たないうちにメフィストも帰って来たため、彼はホールに投げられた。
小野田はメフィストを見るなり、一体何事かと訳が分からなくなった。だが、そんな思いもこの混雑に掻き消された。その後も客が入って来ており、何故か待ちまで出来ていたからだ。
「今日、一体何があったの?」
「いんや、これと言って何もねぇと思うぞ。」
「でも…これって変じゃない?」
「変っちゃ変だが、遣るしかねぇだろ?」
小野田と大崎はそう言って溜め息を吐き、小野田は出来上がったオーダーを再び客席へと運んだのだった。
その間にも、鈴野夜とメフィストは表情一つ崩さず、黙々と仕事をこなしていた。
そんな怒濤の時間はラストオーダーまで続いていたが、それも終わってやっと最後の客が帰ると、皆一様に疲れ果てて座り込んだ。
「やっと…終わった…。」
さすがの鈴野夜も、その表情から生気が抜けていた。メフィストはもっと酷くなっていた。
途中参戦の小野田は兎も角、大崎は朝の仕込みから入ってたと言うのに意外と平気そうな様子だが…。
「皆、今日は良く頑張ってくれた。今日の売上は過去最高だ。」
「オーナー、どんだけいったんすか?」
「五十万超えだ!」
「嘘っ!?」
皆一斉に目を丸くした。
高々二十席の店だ。まぁ、一席三、四人は座れるが、値段はそう高くはない。
だが…これは事実なのだ。
「と、言うことで…今日は…。」
釘宮はそう言って封筒を掲げると、皆の視線はそれに釘付けになった。
「特別賞与!」
これを聞き、皆は立ち上がって叫んだ。さっきまで生き
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