第一話
II
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なかった。
彼らは皆、黒いスーツに黒い帽子、そして黒いサングラスに靴…怪しさ大爆発だったのだ。
「私達は客ではない。少し尋ねたいことがあって来た。」
手前の男はそう言うや、釘宮に一枚の写真を見せた。そこには昨日店に来ていた女性が写っていたのだった。
「この人…昨日いらしてましたよ?閉店間際までおられましたが、その後どこへ行かれたかまでは分かりませんが…。」
「そうか…。」
男はそう一言呟くと、他の連中を引き連れてさっさと出ていった。
釘宮は眉を潜め、男達が出ていった扉を見詰めた。何か…嫌な予感がしたのだ。
「何もなきゃいいが…。」
そう呟き、釘宮は厨房へと入ったのだった。
同じ頃、大崎と鈴野夜、そしてメフィストの三人はとあるファミレスにいた。
「あの店、何で休憩室が無いんだ?」
メフィストが珈琲を啜りながら大崎にぼやいた。それに対し、大崎は頬杖をついてやる気なさげに返した。
「ま、昔はオーナー一人でやってた店だし、わざわざスペース作る必要感じなかったんじゃね?」
「しかしだな、喫茶店で働いていて休憩するのにファミレスじゃ…些か不便ではないか?」
「もう慣れた。」
大崎は、もうどうでも良いと言った感じでコーラを飲んだ。
一蹴されたメフィストは、何だか悲しげな表情で鈴野夜に視線を向けると、鈴野夜は何か別のものを見ていたため、メフィストもそちらに視線を変えた。
見ると、そこにはファミレスには不釣り合いな格好の奇妙な男達がいた。
「メフィスト、今夜だ。」
「そうみたいだな。」
それを見た二人はそう呟き、大崎は軽く溜め息を洩らしたのだった。
三人が見ていた男達は、黒いスーツに黒い帽子、そして黒いサングラスまでしている。釘宮の店に来た連中とは違っているようだが、やはり昨日の女性を探しているようだ。
三人は男達が出るのを見計らって清算を済ませて店を出ると、男達の後をメフィストが追い始めた。
「あいつ…大丈夫なんか?」
「ま、年の功だ。どうにかなるだろ。」
そう言い、大崎と鈴野夜は二人だけで店へと戻った。すると、店は思った以上に混雑していて、二人は直ぐ様仕事に掛かった。
「おい、メフィストはどこいった?」
「あ…なんか私用で…。」
目をギラギラさせている釘宮に鈴野夜は冷や汗を流しながら返すと、釘宮はニッコリと笑みを浮かべて言った。
「そんじゃ、お前が二人分働け。」
事も無げにそう言われた鈴野夜は、何とも情けない顔をして大崎を見た。が…大崎は我関せずと外方を向いて先に厨房へと入ったのだった。
鈴野夜も急いでホールに出ると、店内にある二十席全てが埋まっている状態だった。
「なんだ…これ…。」
ちょっと有り得ない光景だった。それを見るや、鈴野夜は「よしっ!」と自分を奮起し、その
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